期間限定 - 八ック謎ナゾ生命体The Diving Junky Magazine

分布の話し

皆さんから楽しみにしていただいていた、お魚の本。残念ながら発売延期になってしまいました。

理由は、やっぱ間に合いそうにない…ってことで。これから本業が忙しくなってくれないと困るって時に、今年の6月までに全ての作業を終えるのはちょっと難しいよなぁ。。。と自信のないところを出版社に吐露したところ、じゃ、来年にしましょっとアッサリ。

こちらとしては2〜3ヶ月延ばしてくれないかなあと思って相談したのですが、販売時期は春〜初夏の方が良いとのことで、思いっきり先に延ばしてもらえました。その代わりと言っては何ですが、来年の6月までには、今回の魚の本だけでなく他の本が2種類出る予定です。詳細は、ここではひみちゅ。

延期にはなりましたが、親方は相変わらずせっせとイラストを描いています。今も私の横でハナダイ・シリーズに取り組んでいるところ。

私は、学名の次に、それぞれの魚の分布の確認作業。

しかし、学名は誰が調べても最終的に同じ答えに行き着くのと違って、分布って、とらえどころがなくて難しいですよねぇ。そもそも分布って変化していくものじゃないですか。

例えばベニゴンベ。ずいぶんと長い間、レグルスの店内に親方が撮った写真が飾られていました。当然、ゲストの方はその写真を見て「これ、見れますか?」とお聞きになります。答えは申し訳ないけど、まず間違いなく「見れません。」。その昔、たった一度、一匹だけ目撃されたベニゴンベ。その分布に八丈島を入れるのは、本当に正しいのでしょうか? 私だって10年も八丈で潜ってて一度も見たことないのに。それでも記録は残ってしまいます。

では、一匹だけではなく、たくさん見られれば分布したと思って良いのでしょうか?

昨年、長引く冷水塊のせいで、次々と初記録された温帯種。特にメバルの仲間がどこのポイントでも見られ、キンギョハナダイの群れにもれなく混ざっているという状態になりました。それが、黒潮が戻ってきたとたんに全滅です。今では一匹も見られません。これで、もしまたしばらくメバルを見ることがないとしたら? 数だけはたくさん見られましたが、結局一年限りだったってことになったら? 3年以上連続して見られたら「分布」として認める…なんちゃって。

話をもっとややこしくすると、幼魚と成魚の分布域の違いはどうしましょう? いわゆる「死滅回遊魚」と呼ばれる魚たちは、幼魚の方が広く分布します。成魚になる前に環境に適応できなくて死んでしまうので、幼魚は季節に応じて普通に見られるけど、成魚なんて見たことないという場所が存在します。そこでもやはり、1回だけなら成魚も見たことがある、なんていう目撃情報も入ったりすると、さらに話がややこしくなります。

ま、こんな風にややこしくなればなるほど、ばしっと「一回でも記録があれば、成魚だろうと幼魚だろうと分布域の中に入れる」と割り切った方が良いという結論に落ち着くんでしょうね。

でも、作業をしていると、何となく合点がいかず、うんうん唸ってばかりいてちっともはかどりません。

海は世界とつながってますからね〜。

海と言えば空?
空と言えば鳥。

鳥の分布も、いろんな要因が絡まって変化が大きそうですね。やはり、記録に基づいて、一度でも目撃されれば分布域の中に入るのでしょうか。

例えば、カラス。

八丈では、いつの頃からかカラスが増え始めた…と思われています。

確かに、私が八丈へ来たばかりの頃には、カラスがゴミの集積所を荒らしているところは見たことがありませんでした。ところが、いつの間にかゴミが撒き散らされているところを目にするようになり、町でも問題視するようになり、集積所にはカラスよけのネットが設置されるようになりました。

私が八丈へ来てしばらく後、というと、タイミングとしては三宅島が噴火していた時期と重なります。三宅島で暮らせなくなったカラスが、八丈島へ移ってきたという推測があるようですが、定かではありません。もっと面白い話で、江戸時代、将軍の頭に糞を落としたカラスが流罪となって八丈島に送り込まれてきたという話があるそうですが、ますます定かではありません。どちらにしても、昔はいなかったはずのカラスが、今ではすっかり定住しています。しかし、増えたと言っても都区内の市街地を闊歩する大集団になるほどではないようです。イタチか何かが、天敵になっているのでしょうか?

日本のカラスには、ハシブトカラスとハシボソカラスの2種類があるそうです。いつもナズマドへ出かける途中で見かけるのは、ハシボソカラスの方でしょうか? ソテツの実を食べていたようです。

在来の野鳥をおびやかすことなく、ゴミも漁らず、普通に暮らしてくれていれば良い鳥だと思うんですけどねぇ。

水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング

〒100-1511
東京都八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539

www.regulusdiving.jp

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