天馬、龍馬
話は10年も前にさかのぼる。
当時、オーナーの下田が宮古島24ノースの渡真利さんところのヨット、Green Flash号を招いて冬の間だけの期間限定でパラオダイブクルーズをしていた。それがとても楽しかった。
その後そのヨットはTIDA againと船名を変えて、何年にも渡りパラオを訪れた。いつの頃からか、僕らの中では「いつかクルーズを」という思いというか、それが目標になっていた。
2008年くらいから少しずつ船を捜し始めていた。僕らの目的は船を所有することではない。お客さんと一緒に洋上で遊びながら生活できる空間が欲しかった。そしてそういうオペレーションをしたかった。だからそのための方法はどうでもよかった。
TIDA againのように毎年どこからか来てくれる形では年間スケジュールの自由度が少なかった。ならば自分たちでと考え、ヨットという実現可能な線で準備をしていた。そういう意味でもTIDA againはとてもよい経験を僕らに与えてくれた。TIDAはすばらしい船だったからなお更、僕らの夢は膨らんだ。そして、その時は来るのである。
話は突然。下田からの電話だった。
「あー、秋野? 船見つけたから」
最初は何のことだか分からず、「ああ、グアム用の新しいボートですか?」などと頓珍漢なことを僕は答えていた。
どうやらクルーズ用の船だということが分かって、そして船のサイズを聞いて再び驚いた。全長33m、全幅13mの大きさのカタマラン。僕らのターゲットしていたサイズは全長18mくらいまでのカタマランヨットだったので、最初そのサイズがあまりにも違うことに驚いた。
それからの1年間。あまりに違うサイズ、あまりに違う予算、あまりに違うスケールに圧倒され続ける日々だった。
「本当にこれが僕らでできるのか?」
そんなことを考えたときもあった。本当に多くの人たちの協力と好意をいただきながら、今その船は龍馬と銘をうけてパラオの海を走ることになった。
多くの人たちの夢を乗せて紺碧の海を走る龍馬。皆にとっての天馬となれることを願ってやまない。
秋野 大
1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属
パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。
だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。
洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。
ミクロネシア・パラオ
DayDream PALAU
P.O.Box 10046 Koror Palau 96940
Tel:680-488-3551
Fax:680-488-2199
バックナンバー
- 2023.5:GW
- 2023.4:WRECKの面白さ
- 2023.2:ツノダシの舞
- 2023.1:ナイトのライトをワイドでショット
- 2022.12:年の瀬の反省
- 2022.7:ラニーニャ現象とパラオの夏
- 2022.6:カンムリブダイは今年がいいみたい
- 2022.5:今年もイレズミフエダイの季節がやってきました
- 2022.3:パラオのマンタならジャーマンチャネル
- 2022.2:天然の水族館大水槽
- 2022.1:神様の指の跡
- 2021.12:シーズン到来
- 2021.10:グルクンカーテン
- 2021.9:マリンレイクのイソバナ
- 2021.8:人恋しい
- 2021.7:光り輝くということ
- 2021.6:遊び心
- 2021.5:普通がいいよね
- 2021.4:再始動
- 2021.1:太陽に向かって
- 2020.12:人が来ない事での変化
- 2020.11:光明
- 2020.10:高い水温
- 2020.9:激動の陸上、変わらぬ水中
ガイドのつぶやき
- 三浦半島・葉山から
- 真鶴半島・湯河原から
- 伊豆半島・伊東から
- 伊豆半島・川奈から
- 伊豆半島・伊豆海洋公園から
- 伊豆半島・大瀬崎から
- 伊豆半島・平沢/静浦から
- 伊豆諸島・八丈島から
- 静岡・三保から
- 紀伊半島・尾鷲から
- 和歌山・串本/古座から
- 高知・沖の島から
- 鹿児島・屋久島から
- 沖縄・本島から
- 沖縄・久米島から
- 沖縄・西表島から