好きと嫌いの微妙な分かれ目
島の同業者に、カタツムリとナメクジが大の苦手という男子がいる。
学生だった頃には、ゴキブリが苦手だという男子がいた。夜中、下宿している部屋のアパートにゴキブリが出現、慌てて逃げ出し、ビジネスホテルに泊まったという話をして女子からも笑いものにされていた。理系の学生だったので、授業でカエルやうじ虫の解剖だのをやっているにもかかわらず、ゴキブリ1匹のために家出してしまうのだから。
しかし、どれだけ人に笑われても、嫌いなものはどうしようもないらしく、海でいろんな生物を紹介している仕事をしていても、カタツムリとナメクジは、どうしても嫌なのだそうだ。本人曰く、子供の頃からダメなんだから、ダメなんだよ!とのこと。
じゃあ、ウミウシは大丈夫なの? と聞いてみたら、それは大丈夫らしい。
そもそも、ウミウシやカタツムリの仲間たちとウミウシの仲間たちは、見た目が似ているというだけでなく、分類学的にも近い。海の中で、たまにウミウシと間違えられることもあるヒラムシの方が、よっぽど遠い存在だ。
ウミウシ、ナメクジ、カタツムリは、軟体動物で、ヒラムシは扁形動物に属する。ウミウシとナメクジはさらに細かく分類しても同じ腹足網(ふくそくもう)に属し、さらに分類するところで、肺が有るか無いかでお別れとなる。しかし、肺の有無や位地は外見ではわからないし、ましてやそれが好き嫌いの理由にはならない。
以前、寿司屋へ一緒に行った人に「ウニ以外なら、何でも大丈夫です」とお任せでお願いしたところ「ウニがダメならカニ味噌もダメでしょう?」と言われ、ウニの味とカニ味噌の味の違いで一談義してしまったことがあった。私はカニ味噌なら大好きなのに、その人は最後まで腑に落ちない顔をしていた。
要は、好き嫌いの理由なんて説明が付かないことの方が多いと思うのだけど、あえてナメクジやカタツムリが嫌われている理由を考えてみると、あのジメッとヌルッとした、濡れた感じがいけないのではないだろうか。
彼らが水中で生活していれば、あの濡れた肌質は気にならなくなるに違いない。カタツムリなんて、貝殻を背負った、ダイバーの人気の被写体になっていたかも知れない。ウミウシだというだけで、色が地味でも喜ばれることが多いので、カタツムリやナメクジがカラフルでないことは、それほど問題ではないだろう。
嫌いではない私は、今のままのカタツムリでも、好んで撮っている被写体なのだから。
ところで、こんなくだらないことばかり言っている私が、来春にウミウシの本を出すことになった。
細かいことは、何もきまってないけど。
決まり次第、進捗状況とあわせてご紹介しますね〜。
" 好きと嫌いの微妙な分かれ目 " へのコメント
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17匹のパパ&ママ: 2010年12月3日 12:49 AM
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み: 2010年12月4日 9:39 AM
私は、日本語が「ウミナメクジ」じゃなくて良かったなあと思います。なんか名前だけで、流行らなさそぉ~!! まだ「ウミカタツムリ」の方が良いかな? ちょっと話しが外れるけど、国会で「牛歩戦術」っていうのがありましたが、あれがもし「ナメクジ戦術」という呼び名だったら、ちょっと気持ち悪いですねっ。
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ゆうすけ.S: 2010年12月4日 10:38 PM
カタツムリの写真かわいい♪
ウミウシが好きな人は多いけど、
ナメクジが好きって人は聞かないなぁ。ウミウシの本、楽しみにしてますね!
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み: 2010年12月5日 7:46 PM
あ。あれ??
ゆうすけ.Sさんって、アイコンとは別人のゆうすけさんでは~!?
ゆうすけ.Yさんだとしたら、♪付きのコメントが怖いよ~・・・あは。
ナメクジ好きの人、きっといると思いますよ。マニアックな方って、どこの世界にでもいるみたいですから。ちなみに、あたしは子供の頃、ナメクジに塩をかけて溶かすのが大好きでした…。 -
ゆーすけ.S: 2010年12月5日 11:47 PM
ゆうすけ違いをしないように、「ゆうすけ.S」にしたんだけど。
なぜだか「ゆうすけ」さんのアイコンになってる・・・。「ゆうすけ」は多い名前なのでややこしいですよね。
コメント投稿のときにアイコン選びようがないから、
「ゆーすけ.S」にしてみました。
これでアイコン違いにならないかな? -
admin: 2010年12月6日 1:48 PM
ゆーすけ.Sさん、
すみません、修正しました。吉野さんかとアイコンの設定をしてしまいました。○| ̄|_
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み: 2010年12月6日 4:59 PM
あはは!
ゆうすけ.Sさん、ありがとうございました。
せっかくですから、吉野さんからのコメントもお待ちしてまーす♪
水谷 知世
昭和40年代生まれ
兵庫県出身
一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
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ウミウシを外国語に翻訳すると、「海のナメクジ」と訳される言語が多いですね。
生物学的、見た目にも、ナメクジの兄弟なので、当然ですが、何故か、日本では、動きから「海の牛」となったんですね。