ガイドのつぶやき - 伊豆諸島・八丈島からThe Diving Junky Magazine

ひまわりデビュー♪

昨年末の12月20日。コガネスズメダイの学名変更に関する論文が発表されました。スズメダイ好きのダイバーには、首を長くして待っていた待望の論文でした。

「コガネスズメって、どんなだっけ?」と思った方は「日本の海水魚」をご覧ください。伊豆半島周辺、伊豆諸島で潜っている方なら見たことがあるでしょう。図鑑に載っている写真も大瀬崎や大島で撮影されています。成魚は10センチ以上もあって、あまり可愛いとは言いがたく、かえって気が付かないかも知れません。幼魚はまっ黄色でチャーミング、ペンダントヘッドや携帯ストラップにしたいくらいです。

コガネスズメダイ

ある程度大きくなってもキレイな黄色をしているので、小さい魚が苦手なコンデジ・ユーザーにも人気です。この学名がChromis analis(クロミス アナリス)でした。

コガネスズメダイ

このコガネスズメダイ、あまりにも黄色い体色が印象的なので、全身が黄色いスズメダイ=コガネスズメダイだと思ってしまいがちです。実際、みんながそう思っていたのでしょう。でも、毎年コガネスズメダイの幼魚が現れるのを心待ちにして、飽きもせずに撮り続けていると、違う魚を見たとき「あれ?」と思うのです。

最初に「へっ?」と思ったのは、フィリピンで黄色いスズメダイを見たときでした。もう10年以上前のことで、初めてリロアンへ行った時のことです。

いつも見慣れているコガネスズメダイと違い、体とヒレの色が少し違います。ヒレの黄色の方が明るく、少し暗い色の体を縁取っているように見えます。どう考えても、初めて見るスズメダイだと思いました。

そこで、帰国してから、写真を瀬能先生に同定してもらったのです。

「コガネスズメダイです」という返信を頂いたとき、先生には申し訳ありませんが、「うっそだぁ〜」と…。

アナリス

仕方なく洋書の図鑑を引っ張りだして見てみているうちに、今度はイエロー・クロミスと名づけられた、黄色いスズメダイが目に付きました。これなら、私がリロアンで撮った魚と同じに見えます。ところが、やっぱり学名が「クロミス アナリス」なのです。

結局、八丈で見慣れたスズメも、リロアンで!?と思ったスズメも、コガネスズメダイで、外見が違うのは地域の違いによるバリエーションなのでしょうか?

しかし、その後、八丈島にも2種類のタイプのコガネスズメダイがいることがわかりました。さらに、両者は生息環境が異なっていて混泳することはなく、ただのバリエーションであるとは考えにくいということもわかりました。

1つは「日本の海水魚」に載っているスズメダイ、もう1つは、リロアンでみたものとも違う第3のスズメダイです。この第3のスズメダイを、私たちは勝手にコガネSPと呼んでいました。

幼魚ほど体が細長く、ふっくらとしたイメージは全くありません。

コガネSP

成長すると体の黄色が濃くなり、目の周りが少し黒っぽく感じます。腹びれが白く、背びれの縁が赤っぽく見えます。それに、あまり大きくなりません。

コガネSP

時間も場所も別々に見ると、同じ魚じゃない?と思ってしまいそうですが、同じ八丈で同時に見比べると、全然違うんです。

今回の論文で、このコガネSPがヒマワリスズメダイと命名されました。体の色よりもヒレの黄色がキレイに見えるところが、ひまわりの花のイメージにぴったりです。

問題の学名ですが、「クロミス アナリス」は、元々フィリピンで見られるスズメダイに付けられた名前でしたので、ヒマワリスズメダイの学名ということになりました。コガネスズメダイにはChromis albicauda(クロミス アルビカウダ)が付けられました。

これで、八丈の2種類の黄色いスズメダイが、きちんと区別することができるようになりました。めでたし、めでたし…と言いたいところなんですが…

リロアンで撮った写真のスズメダイはどうなってしまったのでしょうか?

実は、このスズメダイは相変わらず「クロミス アナリス」のままなのです。

コガネスズメダイはすっきりしたのですが、ヒマワリスズメダイには、まだ2種類が混在しています。リロアンのスズメダイは、数年前に西表でも見ることができました。いつかきっと整理されて、学名だけでなく、ヒマワリに負けない素敵な和名が付くでしょう。

皆さんなら、どんな名前を付けますか?

水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

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