大好きな風景
JUN-Pは阪急電車京都線、区間限定の「撮り鉄」だ。
沿線に住んでいるのにそうなのだ。
ぜんぜん上手に撮れないけれどそうなのだ。
きっかけは、JUN-Pんち沿線の高架開発が決定的になった4年程前、大好きな風景を残しておきたいと切実に思った時から。
初めて高架計画を聞いたのは20年程前だけど、その頃は何とも思わなかった。
なんやかんやで計画は延び延びになったらしいし、JUN-Pもまだ若く、家族も健康だったし「想い出」というものに対して執着が薄かったからだろう。
ところが、JUN-Pも年をくい、弟は家庭を持ち、父は亡くなって、母も70歳を過ぎたとなると、どうにも家族で過ごした想い出に強いこだわりを持つようになってしまった。
阪急京都線沿いにある柴島浄水場の桜並木はJUN-Pんちの近所で、普通に家族の生活にとけ込んでいる場所だ。いつの頃からか本格的な通り抜けになって、遠方からも花見客がくるようになったが、一昔前は近くの人だけが知る自然の桜並木だった。樹齢を経たりっぱな桜が鬱蒼と立ち並び、季節に呼応する。。通過する電車も桜に見とれるのだろうか?車体のマルーン色が残像をひき、えも言われぬひとつの風景になっている。
母が押す弟の乳母車の前に立ち乗りをして市場に通った道。会社へ行く父の電車を見送っていた踏み切り。弟の幼稚園の運動会を見ようと、小学校から必死で走った午後。朝夕、犬の散歩をして。学校に通って。病院からの帰り道、告知を受けた父が「泣きなや」と言った背中。ひとつひとつの想い出が、ガタンゴトンという音と感情をはらんでこの風景の中にある。
昔は小川が流れていて、糸トンボやシジミ蝶がいて、亀や蛙もいた。なのにいつのまにか、水がなくなって、車がぶんぶん通るようになって、踏み切りが渋滞するからって、高架にするってなった。そして高架にするからって桜を切るのだ。
JUN-Pは、消えてしまうとわかった風景をあわてて写真に撮っている。もっと前から、もっといっぱい撮っておけばよかった。大好きな風景、今年がきっと最後の桜だっただろう。
予告された別れでさえ、こんなにも寂しく辛いのに。。。
JUN-P(仲 純子)
大阪在住ファンダイバー
職業:コピーライターとか
1994年サイパンでOWのライセンスを取得。
宝物はログブック。頁を開くたび、虹のような光線がでるくらいにキラキラがつまっています。
海に潜って感じたこと、海で出会った人達からもらった想いを、自分のなりの色や言葉で表現して、みんなにも伝えたいなぁ。。。と思っていました。そんな時、友人の紹介で雄輔さんと出会い、豪海倶楽部に参加させていただくことになりました。縁というのは不思議な綾で、ウニャウニャとやっぱりどこかで繋がっているんだなぁ・・って感動しています。どの頁がたった一枚欠けても、今の私じゃないし、まだもっと見えてない糸もあるかもしれない。いままでは、ログブックの中にしまっていたこと・・少しずつだけど、みなさんと共有してゆきたいです。そして新しい頁を、一緒につくってゆけたら嬉しいです。
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