ガイドのつぶやき - 伊豆諸島・八丈島からThe Diving Junky Magazine

底土の夏

八丈は日本では有数の多雨の島の1つです。そんなことを何度も書いたことがあるやに思うのですが、この8月は稀に見る晴天続きの一ヶ月でした。

そして、宿泊先やレンタカーの空きがないほど連日観光客で賑わい、レグルスには「今日か明日って潜れますか?」の飛び込みの問い合わせ電話が鳴り止まない嬉しい悲鳴。

しかし天気が最高の状態なのに、海況は遠くの台風から送られてくるウネリの影響で島の南西側は連日の大シケ。南西側にあるたくさんのダイビングポイントや海水浴場が全てクローズ。一時は海岸に近寄ることさえ危険な状態でした。そのため、海水浴客、スノーケラー、体験ダイビング、講習、ファンダイビング、大学生のダイビングサークルの合宿、その他もろもろが、島の東側にある底土海岸に大集合。ものすごく賑やかな日が続きました。

その底土海岸、年々珊瑚の成長が素晴らしく、どんどん規模や面積が大きくなり、ここは沖縄か?サイパンか?? と思える状態になってきています。

ここのところ水温は26〜29℃、透明度はビーチポイントなのに30m近く、珊瑚の合間ではヤリカタギやセダカギンポ、イシガキスズメダイなどの南方系の魚たちがすくすくと育っています。

底土の珊瑚が広がるスペース「癒しポイント」

この珊瑚が広がるスペース、とても浅い場所なので、あまりダイバーが入ってきません。途中から遊泳禁止区域なので、スノーケラーや海水浴客も入れません。そして沖にはテトラポットが積み上げられているため、ウネリの影響も受けにくく、潮だけが流れやすい場所となっています。偶然にも、まるで珊瑚保護区の状態になっていて、あたかもここは「秘密の花園」、レグルスでは「癒しポイント」と呼んでいます。

ダイバーの通り道は、この「癒しポイント」のすぐ横にある「エントランスホール」。エントリー口からすぐそばの所にあり、全てのダイバーがそこを通過して沖の「三又アーチ」を目指します。このホールの水底にダイバーが集まると、ホールの上空はまるでジャグジー風呂のよう。

「癒しポイント」のすぐ横にある「エントランスホール」

この泡をエサと間違えるのか? 今、この周辺にはキビナゴが大群となってグルグルと回っています。もちろん、このキビナゴを狙ってカンパチの大群が入ってくることもあります。まだカンパチのサイズが小さいので迫力に欠けますが、秋になれば大きくなって、さながら回遊魚祭りが開催されることでしょう。

底土の夏は、まだまだ続きます。

キビナゴの大群

水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング

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