ミッドナイトダイブストーリー3
10月5日から再度ミッドナイトダイブのクルーズを行った。
今回は前回よりも更に器材のパワーアップを図る。株式会社フィッシュアイより供給を受けライトトラップを5月の2倍に増やした。このライトを全部点けると水中は昼間のように明るくなった。
参加人数も増えているので、それだけ見つける目の数も、撮影される写真も膨大になり、データも増えた。当然、わけの分からない魚も沢山出てくるので観察のための水槽(もちろん観察後はリリースします)も用意され、更にアカデミックな趣が強くなってきた。
準備万端で夜9時、ポイントであるゲロンアウトサイドにエントリーをした。
潮を選んでエントリーしたので開始直後から稚魚たちがわらわらと出てくる。最初はライトの前でしばらく待ってみた。大きな黄色い胸鰭を広げてナミダテンジクの仲間と思われる稚魚が目の前に現れた。体の割に大きな黄色い胸鰭が特徴か。しばらく観察していると、泳ぐことをせずに、ただその鰭を開いたままでじっとしている。彼らのような小さな稚魚が泳いだところでたかが知れている。
よもすると潮流に流されてどこかに飛ばされてしまう。しかし、その流れを利用することが出来れば効率よく遠くまで移動することができる。それを知っている稚魚たちはその大きな胸鰭を広げ、まるで風を受ける帆のようにして流れに乗る。智恵だなぁと思う。
次にライトから少し沖に出てライトの光の限界近くで張ってみる。ミッドナイトが始まって最初にここに僕は来ない。怖がりだから。(笑)でも、いくつかの稚魚を観察すると、もう楽しくなってきてしまってそんな怖さなんてどこかへ行ってしまう。そのアドレナリンによる怖さが麻痺してからライトから離れて行動を開始する。まあ実際離れたからといって怖いことは何もないのだが。
そしてそんな場所にはハギの仲間の稚魚がいた。
ハギにおけるこのステージはケリス期と呼ばれるそうで体は透明なのだが、この固体は成長が進んでいるようで体の後半には成魚と同じようなザラザラのハギ皮が現れ始めているのが分かる。泳ぎ方は成魚と違いどちらかというとブダイのように胸鰭で泳ぐ。成長過程で尾鰭泳法へと変わっていくのかも知れない。
ふと視線をライトのほうに戻すとセミホウボウの稚魚がいた。
セミホウボウの成魚は水底にいるのでまさか稚魚は浮遊生活をしているとは思わなかった。さらにその体がユーモラス。一丁前にセミホウボウの形をしているのだが寸づまりな感じ。成魚の特徴で胸鰭は稚魚も健在。しかし成魚に比べ体に対して小さく短い。ずんぐりむっくりしたアンバランスさが逆に可愛らしい。これでもしっかり浮遊して流れに乗っていた。
まだまだ出てくる生き物たちはまた来月もつづくのであった。
つづく。
" ミッドナイトダイブストーリー3 " へのコメント
-
ゆうすけ: 2013年1月1日 11:11 AM
秋野 大
1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属
パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。
だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。
洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。
ミクロネシア・パラオ
DayDream PALAU
P.O.Box 10046 Koror Palau 96940
Tel:680-488-3551
Fax:680-488-2199
バックナンバー
- 2023.5:GW
- 2023.4:WRECKの面白さ
- 2023.2:ツノダシの舞
- 2023.1:ナイトのライトをワイドでショット
- 2022.12:年の瀬の反省
- 2022.7:ラニーニャ現象とパラオの夏
- 2022.6:カンムリブダイは今年がいいみたい
- 2022.5:今年もイレズミフエダイの季節がやってきました
- 2022.3:パラオのマンタならジャーマンチャネル
- 2022.2:天然の水族館大水槽
- 2022.1:神様の指の跡
- 2021.12:シーズン到来
- 2021.10:グルクンカーテン
- 2021.9:マリンレイクのイソバナ
- 2021.8:人恋しい
- 2021.7:光り輝くということ
- 2021.6:遊び心
- 2021.5:普通がいいよね
- 2021.4:再始動
- 2021.1:太陽に向かって
- 2020.12:人が来ない事での変化
- 2020.11:光明
- 2020.10:高い水温
- 2020.9:激動の陸上、変わらぬ水中
ガイドのつぶやき
- 三浦半島・葉山から
- 真鶴半島・湯河原から
- 伊豆半島・伊東から
- 伊豆半島・川奈から
- 伊豆半島・伊豆海洋公園から
- 伊豆半島・大瀬崎から
- 伊豆半島・平沢/静浦から
- 伊豆諸島・八丈島から
- 静岡・三保から
- 紀伊半島・尾鷲から
- 和歌山・串本/古座から
- 高知・沖の島から
- 鹿児島・屋久島から
- 沖縄・本島から
- 沖縄・久米島から
- 沖縄・西表島から
アキノすごいね〜3つとも写真家なんかみたことある。青海島でかんじるのは、意外と同じ奴が登場するな=なんだけど、俺たちにはわからないけど、ちゃんとその場所に登場するやつは、きまってるのかもと思うこの頃です。ハギはツノダシみたいなかんじ、、そんじゃーねーー!!