ガイドのつぶやき - 伊豆諸島・八丈島からThe Diving Junky Magazine

A Happy New Point

明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。

年々天候・海況の変化が激しくなり、夏と秋の台風、冬と春の爆弾低気圧に警戒することが多くなってきています。果たして今年はどうなるでしょうか。度を越さない程度なら、海は多少かき回されることがあった方が良いようです。しかし昨年の台風の威力で、海水だけでなく、海底の構成物までかき回され、景観がずいぶんと変わってしまいました。

それによって、新しいポイントができたのです! 悪いことばかりじゃないのです。

それは奥八重根♪

つまり八重根なんですけど、その沖合。水深20mに広大な砂地のあった場所で、エントリー口から遠いし、テンスの仲間くらいしか見かけないので、ダイバーがそこまで行くことはあまりありませんでした。手前で内湾を好むサカナたち、ウミウシ、甲殻類を探すのが八重根の一般的な楽しみ方。ただ、春から夏にかけて、その砂地にイカ床を設置するため、アオリイカの産卵の時期だけはやたらと賑わいます。

その広大な砂地の一部が、台風の後ゴロタになってしまったのです。一体、この大量の岩はどこからやってきたのか?と思うほど、かなりまとまった面積の砂地が大小の岩で埋まり、砂地が沖側へ後退したような感じになりました。

環境が変われば、住むサカナの顔ぶれが変わります。砂地と共にテンス天国も沖側へ移り、ゴロタには新しい仲間がやってきました。しかも、ここは八重根とは言え、ほとんど湾の外側。潮通しが良く、外洋を好む生き物たちがやってきても不思議ではないのです。そこでやってきたのが、このイトヒキベラたち。

まずはクレナイイトヒキベラ。私は幼魚を見るのは初めてだったので、最初は何だかよくわかりませんでした。オスの写真を持っていますが、撮ったのはナズマドの水深45mでした。その幼魚が八重根の20mで見られるとは。

クレナイイトヒキベラの幼魚

さらに、ピンテールと呼ばれているイトヒキベラ。和名がありません。幼魚はツキノワイトヒキベラとの識別が難しいため、ひょっとすると、これもツキノワイトヒキベラの可能性があります。ですが、今のところピンテールだろうと思っています。

ピンテールと呼ばれているイトヒキベラの幼魚

今回、私は写真を撮ることができていないのですが、親方はこれとは別にツキノワイトヒキベラの幼魚も見ているそうです。ピンテールと思われる幼魚と明らかに違う!と言い張っているのですが、写真を見せてもらうと、かなりそっくり…。私は、もう少し両者の成長を待ちたいと思っています。

この他にもニシキイトヒキベラがハーレムで見られ、水温さえ高くなればクロヘリイトヒキベラやベニヒレイトヒキベラも現れそう。もちろん、Theイトヒキベラは元々ハーレムで見られているし、トモシビイトヒキベラは幼魚が見られることがあるので、奥八重根はまさにイトヒキの郷と呼べるでしょう。

今年は、このNew Pointから目が離せません♪

水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島
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