注文の多い○○
注文の多い…と言えば、宮沢賢治の「注文の多い料理店」を思い浮かべる人が多いでしょう。
注文の多い料理店というのは、メニューが豊富な店ということだろうか?と思うと、そうではない。文中の客人も、流行っていて注文をする人が多いので、頼んだものが出てくるのに時間がかかる、という意味に取るが、そうでもない。店に入ってから客席にたどりつくまでの間に、たくさんの扉があり、その扉を開ける度に貼り紙があり、店側から客人に対して、「靴を脱いでください」、「金属製のものを外してください」、「衣服を脱いでください」などと次々と注文を出してくるのです。最初は、何か理由があるのだろうと素直に従っていた客人は、最後になって、これは自分たちが食べられてしまうための注文だったのだと気づくのです。
八丈にも、客人に対してやたらと注文を出してくる施設があります。
料理店ではありません。客人を取って食おうと思っているわけでもありません。
しかし、貼り紙は、やたらと多い…温泉です。
入り口でまず、水着やウェットスーツの人は立ち入りを遠慮すること、の貼り紙。ウェットスーツがダメなのは理解できるが、水着を着ている人は、例えそれが乾いていてもダメなのがよくわかりません。最近では水着なのか下着なのかよくわからないものも多いし、たまに荷物を少しでも減らすために水着を何枚も持ってくる代わりに、下着を持ってきてない観光客も見かけます。それが、脱衣場で水着を着用していると認定された時点で退場を命じられてしまう場合もあるというから驚きです。観光客を増やそうとしているように見せかけて、実は意地悪しているとしか思えません。
さらに中に入ると、脱衣場のカゴやロッカーの取り扱いについて注意され、浴室の中に入れば、歯を磨くな、髪を染めるな、カランを独占するな…と、次から次へと注文が続きます。浴室内は撮影禁止とのことなので撮れませんでしたが、浴室内にも貼り紙がいっぱい。言われた通りにお行儀よく入浴を済ませ、休憩室でほっと一息…と思えば、そこにも貼り紙。
ここは全寮制の学生のための大浴場か?と思うほど、当たり前のことから意外なことまで、さまざまなルールが掲示されているのです。
いわゆる観光地にある温泉で、こんなにたくさんの貼り紙が貼ってある温泉って、他にありますか? 今まで、いろんな所へ旅行に出かけ、あっちこっちの温泉に入ったことがありますが、ここは日本で一番「注文の多い温泉」なのではないかと思っています。
水谷 知世
昭和40年代生まれ
兵庫県出身
一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
〒100-1511
東京都八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539
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