1カ月間浮遊生活
季節の変わり目、キアンンコウなどの姿は見えなくなり、いつもより少し早めにマンボウが目撃されるようになりました。
ここ1カ月間は浮遊生物は毎日のように生き物が入れ替わりするように登場。
前回お見せした写真に浮遊性の各種類のイカが姿を現しましたが、今思うとあれが序章にすぎないような感じに思えたぐらいなのです。それでは2月から遡ります。
まずは2月21日。
スルメイカは変わらずに集団で泳ぎ回ります。その途中で別の生き物が3個体、現れました。
おそらくは外洋性のタコの幼体ではないかと思われます。
その1週間後の2月28日は普段はまずお目にかかれない、深海系の稚魚の登場。
ハダカエソ科の一種クロナメハダカ属の可能性があるとのことです。
ライトの光に何か透明な楊枝のようなものがゆっくりと寄ってきたなと思ったらこの稚魚でした。
他にもカンテンダコだと思われる幼体も出たようです。
3月2日、数日前から少し潮が変わり水温も上昇(一時は17℃まで!)
そこからはガラッとライトに寄ってくる生き物が変化しました。
スルメイカは今まで見た群れはいなくなり、稀に現れるくらい。この日はオオバウチワエビのニスト幼生を写真家の阿部秀樹氏が発見!
着底する前の浮遊生活のラストのステージ、何十年に一度見れるか見れないかくらい珍しいステージなのです。
3月5日、浮遊生物ではお馴染みなレプトケファルス幼生やタルマワシの仲間が続々登場。
個人的なヒットは他店のお客様が発見した1cm(1センチ)に満たないホウボウ科カナガシラ属一種の稚魚。
3月9日、2日にニスト幼生を見た後、まさかのその前のステージのフィロゾーマ幼生(種類は不明)をまたしても阿部秀樹氏が発見です。
種類にもよると思いますが個人的に秋〜冬にかけて見かけるのですが3月に見るのは初めてなのです。
3月13日、ダンゴイカの仲間が大・中・小とさまざまなサイズがライトにゆっくりと向かってきます。
ツメイカ科の1種の幼体や3〜4個体で群れになるスルメイカも見られ、久々のイカフィーバーとなりました。
3月16日、3日前と比べるとイカなどの姿は全く見えない。
今まであまり姿が見えなかった甲殻類の幼生が目立ち始めました。
不明種のゾエアやメガロパ、ミズヒキガニのゾエアなど。
写真はライトトラップ中によくは見かけるのですが不明種のゾエアです。
毎回潜るたびに変わる浮遊生物たち、ここ1カ月の変化は実に面白かったです。
4月からもまた変化が出てきそうで、春の浮遊生物たちも目が離せないですね。
堀口 和重
1986年5月22日生まれ
東京都中央区出身
専門学校で海洋生物の勉強をしながら伊豆の海でダイビングを始める。
卒業後、2年間鹿児島県の屋久島でガイドをスタート。その後どうしても、大瀬崎で働きたく伊豆の海へと戻ってくる。
現在は大瀬館マリンサービスのチーフインストラクター。
伊豆半島・大瀬崎
大瀬館マリンサービス
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- 2017.11:Squid World
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