ライト撮影の勧め
最近、ストロボを使わない、ライト撮影に凝っている。
被写体や背景をライトアップして、撮りたい場所だけを強調して表現する手法です。
使用するライトはINON-LF800N集光レンズ付き。メインのライトはアームを介してハウジングに取り付け。サブのライトは台座とウェイトに取り付け、据え置き型にしています。
最近ブログで紹介した写真を例に、ライト撮影の面白さをお話ししましょう。
春になると八丈島の海は様々な海藻で華やかになります。
写真の円形状の海藻もそのひとつ。
この海藻の形を強調するために、据え置きライトを海藻の裏側から中心に向かってライトアップ。
もうひとつのライトを円形の縁がでるようにサイドからライトアップ。この時クロフチウミコチョウにも木漏れ日のような光が当たることがポイントとなります。ライトアップされない部分は暗くなり、ライトアップされた部分が際立つのです。
どうですか。クロフチウミコチョウの物語が見えてきませんか。
この写真も同じように2つのライトを使って撮影しています。
ここで注意点があります。太陽の下で生活する私たちにとって、光は上から下に照らされているのが普通です。
ですからメインとなるライトは上から照射するのが基本です。
部分的に強調したい部分は、メインのライトよりも少し暗くした据え置きライトで照らすのがコツです。
真珠光沢のある貝殻の上は、ライトの光がよく反射して、はっとする写真に仕上がります。
ただ反射し過ぎると、メインとなる被写体まで白飛びしてしまいます。
特にコンデジを使った写真には、白飛びしてディテールがわからなくなってしまったものを、よく見かけます。
対策は簡単です。どんなモードでも、スッポト測光にしてしまえばよいのです。
モニターでスポット測光の枠の中に被写体を入れると、被写体の丁度よい色で撮ってくれます。
この写真は、もちろん合成です。合成のしやすさもライト撮影の利点です。
ライトアップされない背景は真っ暗になるので、この部分に合成したい写真をはめ込むのです。まだ画像編集なんて邪道だと言われていて、フィルム撮影をしていた時代には、多重露光という手法で苦労してこのような作品を作っていました。
ライト撮影。生態写真とはひと味違う作風です。私は物語を感じさせるという主題で撮っています。
皆さんも是非挑戦してみて下さい。写真の幅が広がりますよ。
加藤 昌一
横浜出身、獅子座
昭和30年代生まれ、気分は昭和50年代
1992年にレグルスダイビングを設立する。フィッシュウオッチングの草分け的存在。
飽くことなく潜り続け、水中生物は分け隔てなく撮り集めているため、膨大なフォト・ストックを有する。
ガイド業も第一線で活躍しているが、写真家としても注目され、「エビ・カニガイドブック」「ウミウシ 生きている海の妖精」「スズメダイ」「海水魚」を出版する他、さまざまな水中写真を図鑑や雑誌に多数提供している。
水中生物だけではなく、陸の生き物も大好き。特に爬虫類が大好き。
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
〒100-1511
東京都八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539
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