タキベラ属特集・その他
皆様、大変お久しぶりです。いつの間にか季節は巡って“メリクリ”も“あけおめ”も“鬼は外”もすっ飛ばしてしまい、新しい元号が発表(施行は来月から)されてしまいました。
平成最後となってしまった今回は3月の写真から(ちょっとズルをして4月1日のものを1点含みます)特集を組み、その後に2月・1月・昨年12月から1点ずつ選んでご紹介します。
まずはベラ科 ― タキベラ亜科 ― タキベラ属(Bodianus)の魚を5種類ご紹介します。
細長い体型が一般的なベラ類の中において、この属は比較的体高が高いグループで、魚類図鑑ではベラ類の最初の方に配置されています。英名は一般的なベラ類を指すWrasse(ラス)ではなく、Hogfish(ホグフィッシュ)と呼ばれています。それぞれ種名のあとに学名・英名を添えました。
① タヌキベラ Bodianus izuensis Striped pigfish
3月8日 伊豆海洋公園
伊豆海洋公園(I.O.P.)ではエントリーから近い1番の根周辺では見られことはなく、2番の根やブリマチなど、より潮通しの良い場所を好むようです。学名・種小名のizuensisが示すように温帯種で、I.O.P.産の標本により新種記載された種類です。
② キツネベラ Bodianus bilunulatus Tarry hogfish
3月25日 伊豆海洋公園
季節来遊型の種ですが、その中でも他種に比べ毎年数多くの個体が出現します。過去数回ほどほぼ成魚の個体が出現したことがあります。
③ モンツキベラ Bodianus dictynna Redfin hogfish
3月26日 伊豆海洋公園
②と同じく季節来遊型の種でやはり毎年必ず現れます。刺胞動物のヤギ類の周辺に好んで生息しています。
④ フタホシキツネベラ Bodianus bimaculatus Twospot hogfish
3月27日 伊豆海洋公園
①と共にこの属の中では数少ない温帯種です。掃除共生する種でこれまで観察した限りチョウチョウウオ科の温帯種・シラコダイと特に相性がいいようで、よくクリーニングシーンを見かけます。I.O.P.産の個体に基づき日本初記録種として報告された種類です。
⑤ タキベラ Bodianus perditio Golden-spot hogfish
4月1日 伊豆海洋公園
②・③と同様に季節来遊種ですが、前2者に比べるとI.O.P.での出現例は非常に稀で、記憶している限りこの30年で数例程度です。このサイズ(3㎝足らず)の個体が出たのは知る限りこれまでで最小です。
*********************************
ここからは2月・1月・昨年12月の写真です。
ナメラヤッコの幼魚 2月8日 伊豆海洋公園
季節来遊もので、特集のベラ類でもそうですがこの手が2~3月に現れるのは、今まであまりなかったことで、今シーズンの特筆すべき現象と言えるでしょう。
ヒラメの黄化個体 1月7日 伊豆海洋公園
実は昨年末に長年使っていた骨董品のカメラから新しいものに換えました。更にゲストにお借りしたトトメレンズなるものを付けて撮ったのがこの写真です。
ユビワサンゴヤドカリ 2018年12月29日 伊豆海洋公園
暮れも押し迫った頃にエントリー直後の波打ち際で見つかりました。2月のナメラヤッコもそうなのですが、妻・夕起子の発見です。本来サンゴ礁に生息する種で、伊豆大島までは記録がありますが、伊豆半島ではおそらく無いと思います。今回は標本が無いので正式な記録になりませんが、観察例としては北限となるでしょう。
さて、元号も代わることですし、心を入れ替えて来月から欠かさず更新しよう、と今は思っているのですが、どうなりますことやら・・・。
横田 雅臣
1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身
ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。
伊豆半島・伊豆海洋公園
ダイビングサービス GO TO THE SEA
〒413-0231
静岡県伊東市富戸912-29
Tel:0557-51-7878
バックナンバー
- 2024.1:新年にちなんで・・
- 2023.12:ヒレボシミノカサゴの幼魚@八幡野
- 2023.11:モノクローム
- 2023.10:ハシナガウバウオ
- 2023.9:ミカヅキツバメウオの幼魚
- 2023.8:オオウミウマ
- 2023.7:ワモンヤドカリ2種
- 2023.6:ミギマキ×タカノハ
- 2023.5:キリンとネッタイ
- 2023.4:マツカサウオ@I.O.P.
- 2023.3:モンスズメダイの幼魚@I.O.P.
- 2023.2:オオモンカエルアンコウの幼魚@八幡野
- 2023.1:A HAPPY NEW YEAR
- 2022.12:フタスジリュウキュウスズメダイの幼魚
- 2022.11:ウチワザメ@八幡野
- 2022.10:モヨウフグ@富戸ヨコバマ
- 2022.9:ナンヨウツバメウオの幼魚
- 2022.8:アオリイカ(幼体)の群
- 2022.7:ニシキウミウシの交尾
- 2022.6:スベスベマンジュウガニ
- 2022.5:キレイどころ2種類
- 2022.4:キリンゴンべ
- 2022.3:ヤイトハタ
- 2022.2:寒中お見舞い申し上げます
ガイドのつぶやき
- 三浦半島・葉山から
- 真鶴半島・湯河原から
- 伊豆半島・伊東から
- 伊豆半島・川奈から
- 伊豆半島・伊豆海洋公園から
- 伊豆半島・大瀬崎から
- 伊豆半島・平沢/静浦から
- 伊豆諸島・八丈島から
- 静岡・三保から
- 紀伊半島・尾鷲から
- 和歌山・串本/古座から
- 高知・沖の島から
- 鹿児島・屋久島から
- 沖縄・本島から
- 沖縄・久米島から
- 沖縄・西表島から