「旬を逃す」 それステータス
9月に入ってもカメラ片手にプライベートでダイビングなんて行ける訳もなく、ガイド、体験、ガイド、体験、体験という日々が続きます。
体験参加のお客様のBCに空気を入れて、中世浮力にして手を引いて泳いでいると、なんとなく風船の紐を持って走っていた子供の頃の自分を思い出すんですよ。
ガイド中はガイド中で、壱円玉より小さなタテキンのチビやレンテンヤッコ、ニシキヤッコ、スミレヤッコのチビを見つけ、ゲストに見せるたびに「今が撮り頃の旬だなぁ~」と思うんです。
ただすぐに一眼カメラ持って撮りに行ける訳でもなく、ガイドと体験が続けば撮り頃の旬が普通に通り過ぎていくのです。
自慢ではないがユウゼンの2cmに満たないチビサイズを毎年見ています。えっへん!
でもそのサイズの写真は持っていません。しゅん・・・
このユウゼンの子は、とにかく撮り頃の旬の期間が短すぎるのです。見つけたら数日で撮らないとすぐに大きくなってしまいます。
まぁでも毎年出ているので、いつか撮れるんじゃないかと諦めていますが、諦めきれない子が二週間前に現れたのです。
それはルリハタ幼魚です。
えっルリハタですかって言われそうですが、いやいや幼魚は幼魚でもまだ全身が黄色い時期の子です。久々に水中で吠えました。
これは撮りたい!
しかし、台風、体験、体験、台風、ガイド、ガイドが続きその場所にカメラを持っていくことさえできなかったのです。
しかし、ついにチャンスが訪れました。
ルリハタの幼魚が見たいというゲスト、しかもスーパー常連のお二人ともフィッシュウオッチャーでカメラ持っていません。
「加藤さん、写真撮って」という嬉しい一言。
もちろん撮らせていただきました。
が・・・・・
やっぱり、やっぱり、撮り頃の旬は通り過ぎていて、お腹は黄色がなくなり黒青くなっていたのでした。これじゃ、ただの小さめのルリハタ・・・
幼魚時代は一瞬だったのでした。
加藤 昌一
横浜出身、獅子座
昭和30年代生まれ、気分は昭和50年代
1992年にレグルスダイビングを設立する。フィッシュウオッチングの草分け的存在。
飽くことなく潜り続け、水中生物は分け隔てなく撮り集めているため、膨大なフォト・ストックを有する。
ガイド業も第一線で活躍しているが、写真家としても注目され、「エビ・カニガイドブック」「ウミウシ 生きている海の妖精」「スズメダイ」「海水魚」を出版する他、さまざまな水中写真を図鑑や雑誌に多数提供している。
水中生物だけではなく、陸の生き物も大好き。特に爬虫類が大好き。
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
〒100-1511
東京都八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539
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- 2020.12:ガイドの楽しみ
- 2020.11:生態写真に点数を付けたら、負けてしまったという件
- 2020.10:常時携帯
- 2020.9:告白
- 2020.8:圧を感じたい時もある
- 2020.7:拍子抜け
- 2020.6:対象物と寄り
- 2020.5:しばらく振りのお魚さん
- 2020.4:ウミウシは続くよ、どこまでも
- 2020.3:先が見えたら・・・
- 2020.2:メガネと透明度
- 2020.1:改訂版のウラ話
- 2019.12:訂正のタイミングと一発勝負
- 2019.11:人間も騙される凄い奴
- 2019.10:「旬を逃す」 それステータス
- 2019.9:体験ダイビング中の楽しみ
- 2019.8:訂正
- 2019.7:羊
- 2019.6:毎日少しずつ
- 2019.5:ローガンズとウミコチョウ
- 2019.4:60マクロレンズと105マクロレンズ
- 2019.3:オヤジ撮り
- 2019.2:被写界深度との闘い
- 2019.1:経験と勘
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