ガイドの楽しみ
ゲストが望む、いわゆるネタと呼ばれる生き物たちを見せるのもガイドの仕事。
なので、あそこに何がいたとか、ここに何がいるということを常に把握しておかないといけない。
時にはガイド同士で情報の共有をしていたり、他のガイドに知られないよう、これ俺のネタなんて言うものもある。
まぁゲストが喜んでもらえるのであれば、みんなが見たがるネタ探しは必須となるわけだけどね。
そんなネタをゲストに見せる合間に楽しみがある。その楽しみはガイドというよりも個人的な自分の楽しみかな。
例えば、いつも同じ場所でテリトリーを持つハゲハゲの変な色のセダカスズメが、今日も元気にナワバリを徘徊しているとか、今年のコガシラベラの産卵はいつもより早く始めたなとか、毎年幼魚でやって来る子たちの成長を追って、今年は大きな若魚まで育ったとかと言う、生き物たちの成長過程や生活を追うという楽しみなんです。
そんな楽しみの中から、ついに八丈島にもこの成魚が現れた種類を紹介しましょう。
毎年毎年、八丈島にやって来るモンツキハギの幼魚。黄色い色彩で目立ちますが、ゲスト受けは悪く、ネタにはなりません。
モンツキハギの幼魚は、初夏から夏にかけてあちらこちらのポイントで見られ、秋になると数は減っていきますが大きく成長し、モンツキの名前通り、目の後方にオレンジ色の紋が現れます。
そして秋も深まり冬になり大きく成長するのですが、春の冷水塊の冷たい水温で死滅してしまいます。
ところが今年、去年から続く黒潮大蛇行の影響なのか温暖化の影響なのかは分かりませんが、冷水塊がやってこなかったので、水温が高めに安定したため、ついに成魚が現れたのです。しかも複数匹で。。
もう何十年と八丈島の海に潜っていますが、こんなこと初めでです。もちろんネタにもなりませんが、一人でわくわくドキドキしているのですよ。
こんな感じでガイド中はひとりだけで、楽しんでいるんです。
もちろんゲストにはちゃんとゲストが望む生きものたちを全力で紹介していますよ。
さて、今回で「ゆうすけの豪海倶楽部」は、雄輔さんが辞めてしまうので、終わりとなるようです。
でも、引き続き豪海倶楽部は、雄輔さんの意志を継いで続けて行くようです。
もちろん私も、、、若い人に任せ退くことにしました。
長い間、たわごとを聞いて下さり、ありがとうございました。
今後も豪海倶楽部をよろしくお願いします。
加藤 昌一
横浜出身、獅子座
昭和30年代生まれ、気分は昭和50年代
1992年にレグルスダイビングを設立する。フィッシュウオッチングの草分け的存在。
飽くことなく潜り続け、水中生物は分け隔てなく撮り集めているため、膨大なフォト・ストックを有する。
ガイド業も第一線で活躍しているが、写真家としても注目され、「エビ・カニガイドブック」「ウミウシ 生きている海の妖精」「スズメダイ」「海水魚」を出版する他、さまざまな水中写真を図鑑や雑誌に多数提供している。
水中生物だけではなく、陸の生き物も大好き。特に爬虫類が大好き。
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
〒100-1511
東京都八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539
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- 2020.12:ガイドの楽しみ
- 2020.11:生態写真に点数を付けたら、負けてしまったという件
- 2020.10:常時携帯
- 2020.9:告白
- 2020.8:圧を感じたい時もある
- 2020.7:拍子抜け
- 2020.6:対象物と寄り
- 2020.5:しばらく振りのお魚さん
- 2020.4:ウミウシは続くよ、どこまでも
- 2020.3:先が見えたら・・・
- 2020.2:メガネと透明度
- 2020.1:改訂版のウラ話
- 2019.12:訂正のタイミングと一発勝負
- 2019.11:人間も騙される凄い奴
- 2019.10:「旬を逃す」 それステータス
- 2019.9:体験ダイビング中の楽しみ
- 2019.8:訂正
- 2019.7:羊
- 2019.6:毎日少しずつ
- 2019.5:ローガンズとウミコチョウ
- 2019.4:60マクロレンズと105マクロレンズ
- 2019.3:オヤジ撮り
- 2019.2:被写界深度との闘い
- 2019.1:経験と勘
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