天然の水族館大水槽
予報を見ていると、2月から天気がいいらしい。
2月からと言うことは、今この原稿を書いている1月は、そうでもない天気です。
パラオの季節感が変わってきたことは、この豪海倶楽部で何度か書いてきましたが、今年もその「変わった」季節感を継続しているようです。
パラオは海洋性熱帯気候で、基本高温多湿。冬が乾季で夏が雨季といわれる。
僕がパラオに来た25年前は、12月から5月くらいまでが乾季、6月に風向きが変わって7月から10月が雨季となり、11月にまた風が変わる、と教えられてきました。
しかし世界で異常気象と言われ、特にこの数年はパラオのシーズンは、1~2か月後ろにズレてきているように感じます。
なので今年は、1月ではまだ「乾季に入ったのかな」とは感じられず、おそらく2月からとなるのでしょう。
すると今年の乾季は、7月中旬くらいまでは続くのではないかと思います。ここ数年、夏の天気が比較的良い(夏の話はまた別の機会に)ことから、この夏はちょっと期待している僕であります。
さて、そんな天気の話は置いといて、今月はブルーコーナーについて書きたいと思います。
この豪海倶楽部に訪れる人ならばダイバーの方が多いのかと思いますが、ダイバーならおそらくほとんどの人が、一度くらいは「ブルーコーナー」の名は耳にしたことのあるのではないでしょうか。
「ブルーコーナーを潜らねばダイバーにあらず」と昔の人が言ったかどうかは知りませんが、赤道近くにある屋久島程度の小さな国に、世界中から毎年数万人のダイバーが足しげく通うことからも、パラオが人気のダイブディスティネーションであることが分かります。
そしてその最たる理由が、ここブルーコーナーなのです。
なぜ、そんなにブルーコーナーの人気があるのか?その答えはシンプルで、天然の水族館大水槽と表現されるほど大物・光物・群れ物が多く、ダイナミックで興奮する「うぉー」とか「すげー」が連続してしまうダイビングポイントだからです。
特にこれからの乾季のシーズンは透明度が上がり、パラオ特有の濃いブルーの海の色がより鮮明になります。そしてこの時期に潜るなら、午前中で上げ潮の時間帯になるタイミングがベストだと僕は思います。
ブルーコーナーなんて魚は沢山いるんだからいつ潜っても同じだよ。とおっしゃる輩もいますが、実は違います。
上げ潮の流れがかかっている時は、ブルーコーナーの地形の形から魚の群れがまとまりやすく、見ごたえのあるダイビングが演出しやすい。
また、上げ潮の流れがかかっているときには、僕らは東から西へと移動するので、午前中に潜れると太陽の光が順光(太陽を背にしながら進む)になり、視界が明るく透明度もさらに良く感じます。
雑誌やWEBを飾るカッコいい写真たちは、大体この「午前中の上げ潮」で撮影されていることが多いのもこんな理由からです。
乾季のブルーコーナーで午前中に上げ潮の流れなら、三度の飯を抜いてでも潜りたい。
そんなことを考えてしまうくらい素晴らしいダイビングになる乾季のパラオ。TVやWEBの2Dではなく、ぜひご自身の目で3Dで体感していただきたい。
絶対、絶対、感動しますから。
秋野 大
1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属
パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。
だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。
洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。
ミクロネシア・パラオ
DayDream PALAU
P.O.Box 10046 Koror Palau 96940
Tel:680-488-3551
Fax:680-488-2199
バックナンバー
- 2023.5:GW
- 2023.4:WRECKの面白さ
- 2023.2:ツノダシの舞
- 2023.1:ナイトのライトをワイドでショット
- 2022.12:年の瀬の反省
- 2022.7:ラニーニャ現象とパラオの夏
- 2022.6:カンムリブダイは今年がいいみたい
- 2022.5:今年もイレズミフエダイの季節がやってきました
- 2022.3:パラオのマンタならジャーマンチャネル
- 2022.2:天然の水族館大水槽
- 2022.1:神様の指の跡
- 2021.12:シーズン到来
- 2021.10:グルクンカーテン
- 2021.9:マリンレイクのイソバナ
- 2021.8:人恋しい
- 2021.7:光り輝くということ
- 2021.6:遊び心
- 2021.5:普通がいいよね
- 2021.4:再始動
- 2021.1:太陽に向かって
- 2020.12:人が来ない事での変化
- 2020.11:光明
- 2020.10:高い水温
- 2020.9:激動の陸上、変わらぬ水中
ガイドのつぶやき
- 三浦半島・葉山から
- 真鶴半島・湯河原から
- 伊豆半島・伊東から
- 伊豆半島・川奈から
- 伊豆半島・伊豆海洋公園から
- 伊豆半島・大瀬崎から
- 伊豆半島・平沢/静浦から
- 伊豆諸島・八丈島から
- 静岡・三保から
- 紀伊半島・尾鷲から
- 和歌山・串本/古座から
- 高知・沖の島から
- 鹿児島・屋久島から
- 沖縄・本島から
- 沖縄・久米島から
- 沖縄・西表島から