南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

パラオの海から

最近、日本でブレイクしているらしきミジンベニハゼ属のナカモトイロワケハゼ。あまり詳しくは知らないのですが、最近は石垣島だけからではなく沖縄本島からも目撃例があるようです。パラオでもこのナカモトイロワケハゼと思われる魚が最近見つかり、パラオのダイビングガイドの間では結構評判になっています。僕はウチのオリジナルポイントのSt.カーディナルというポイントで見つけたのですが、もともとはクルーズコントロールの後町信氏が別の場所で見つけたのが最初です。瀬能先生に聞いたらナカモトイロワケハゼでよいのではないか、という回答をいただきました。パラオ初記録だそうです。すごいぞ!後チョー。

さて、この魚の生息水深はちょっと深めで29m付近。砂泥底のカイメンやケヤリムシの管の中などに住んでいるようです。写真の個体はおよそ1.5cm。まだ幼魚の個体です。着底していることもあるのですが、少し潮が動いていると自分の住家から10cmくらい上をホバリングして餌を探しているように見えます。プランクトンフィーダーなのでしょうか。その動きはとても機敏でピッ、ピッと泳ぐ速さはこのハゼの可愛らしさとはずいぶん印象が違います。石垣島の個体は各ヒレまで黄色なのに対し、パラオの個体はヒレは全て透明です。唯一尾びれだけ少し体色の黄色が入ります。

現在パラオの分類学オタクのサザンマリンダイバースの坂上治郎氏が精査のための調査をしているそうです。捕獲用のビンを12本いれたところ、3日で満員御礼となったそうです。個体数は沢山います。そのうち、坂上氏から精査の内容を教えてもらいましょう。何でも「オス、メス両方の個体を採取してその精巣比重と卵巣比重を計ることによってその個体が成熟しているかどうかが分かるんです、それをもとにゴニョゴニョゴニョ・・・」と言っていました。

警戒心は強くないので撮影は比較的楽で、倍率の高いレンズがあれば誰でも挑戦できます。レンズは105mmクラスのマクロレンズ+クローズアップレンズを使うのがいいのではないかと思いました。この魚の生息環境があまり透明度のいいところではないので、ポート先端からの撮影距離は出来るだけ短くした方がクリアに写ります。個体も小さいので倍率も上げたいところですし。テレコンじゃない方がいいと思います。テレコンでは倍率を上げられても撮影距離を詰めることはできませんから。

僕は今回200mmマクロにクローズアップレンズを付けて撮影距離を縮めましたが、100mmクラスのレンズでクローズアップレンズでもいけるのではないかという感触を得ました。そっちの方がシャープに撮ることが出来ると思います。そのうち試してきます。

まだまだ他の場所にもいそうなので、ポイントを探しに行ってきます。水深29mと言うのもちょっと深めなので、もう少し浅いところで探し出したいところです。これから、まだまだ調査が必要な魚ですが、かわいいので許しちゃいましょう。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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