今日は10月23日で僕の誕生日の翌日だ。シゴトはお休み。昨夜のせいで頭の中が酒漬けになっていたので昼まで寝ていた。きっとこうなるであろうことを予測して予め今日は休みにしておいた。ベッドの中で二日酔いに苦しみながらも自分の周到さにほくそえむ。

夕べは「僕の誕生日を祝う会」と称して30人以上の日本人やらパラオ人が「やいのやいの」と集まってくれた。内輪だけということだったのでたいして告知もしていなかったのに、よくもまぁこれだけ集まったなぁ、と我ながら他人事である。今日の会場は目の前がすぐ海というロケーションにある、おしゃれなバー「Jive」だ。パラオの場合こういう「海っぷち」で行われるパーティーの時には誰かが必ず海に落とされる。今日は自分でないことを祈りつつ、しかし今日は断れないかなぁ、などと一応覚悟も決めとく。

7時半から始まったこの会、僕は「一応」主賓であったのだが、仕事の都合で会場に着いたのは8時だった。幹事はIMPACツアーのアシスタントマネージャーのヒデキとDolphin’s Pacificの看板娘の生江ちゃんと、麻里ちゃんの3人。この3人がとてもよく動いてくれてとても楽しい会となった。

途中でプレゼントが運ばれてきた。中身にビールの詰め合わせを見たときには「うん、分かってるなぁ」と付合いが長いこの友人たちの心意気に嬉しくなった。こういう嬉しいときは飲みすぎと分かっていてもツイツイコップに手が出てしまう。パラオの女医さんである響子さんは僕の大好物の「うずらの煮卵」を作ってきてくれた。男ってこういう手作りには弱い。お酒も手伝ってか、包みを開けながら思わずホロリとしそうになったのはナイショだ。味は予想通りで、うまかったなぁ。

途中までは誰が居たか覚えていたが、9時半を越えたころから、誰が居たとか何人来ていたという記憶があやうい。本来、人から何か祝われることに慣れていないから照れくさかったのも手伝って少々お酒のペースが早かった。次から次へと「コレデモカ、コレデモカ」と作られ運ばれてくる焼酎が美味しく感じてしまう。主賓でもあるという意地もあり、あまり早くから酔い潰れてしまうのは格好も都合も悪い。一応今日のテーマは「家まで生還」ということにしよう。しかし何杯でも飲めそうな気がしていたのは10時までだった。その後はちょっと気持ち悪かったけどこの事は人に言えなかったなぁ、あの状況じゃ。

そのうちJiveの前の浮き桟橋に幹事の3人と座って話していると、1人、また1人とバーから仲間が移ってきて話の輪に入る。星がきれいで浮き桟橋の緩やかな揺れが気持ち良かった。話してた内容は良く覚えていないが、「現在の世界情勢とブッシュ再選について」とかいうムズカシイ内容ではなかったと思う。

程よく浮き桟橋の上で揺れていると、幹事のヒデキが「おう！じゃ、終わろうか」の一言を発す。この男のリーダーシップはたいしたものだ。どんなに場にまとまりが無くても、この男の一言でなんとなく納まってしまう。世の中にはこういう男もいるんだな、と深く納得。 で、あっさりお開きとなる。

結局今日はだれも海に落とされることなく、パーティー会場はそのままカラオケ会場へと場所を移したのであった。

カラオケ会場ではすぐに無法地帯状態となる。もう目の焦点も合わないが初めて見る顔ぶれもいたように思う。思っても焦点が合わないから確認もできない。聞くのも面倒くさいし、もう誰が居てもどうでもいいよ、楽しもうよ。という悟りの境地に近い。お店のオネーチャンがウイスキーの水割りを「セッセ、セッセ」と運んでくる。ここまで来るとサバイバル。生き残り合戦のようなテーブルでオネーサンの「セッセ、セッセ」攻撃にノックアウトされそうになりながらも、眠気と吐気に打勝つために十八番の曲を勢いをつけて歌う。でももう音程もへったくれもあったものじゃない。でも楽しいぞ。間奏の時に席のほうに目を向けてみると、みんな自由に隣と話をしたり、オネーチャンに夢中だったり、すでにノックアウトだったりとそれぞれ満喫しているようだ。みんな誰に気兼ねすることなく自由に遊んでいる。そんな時間を共有しているって感じがいいんだよなぁ。

その後セコンド役のパラオスポートのマネージャー花ちゃんに抱えられながら無事生還したのだが、だらだらとパラオの「とある夜」のダラ文を書いたところでそんな話にはなぁーんの興味もない豪海の読者にはなぁーんにも面白くない話だったなぁ。