南国通信 楽園からのらくがき | 豪海倶楽部 |
南北縦断サファリ(後編) 前半戦のカヤンゲルからコロールへ一度戻って来て、一泊休んだ後にサファリはペリリューへと下る。後半戦も天気は良好。パラオの強い太陽が照りつける中、ボートは南へとひた走る。メンバーの表情が前半戦のカヤンゲルへ行く時と雰囲気が違うように感じるのは、難しいと言われる北のエリアを、特にテールトップリーフを潜りきったという自信のせいなのかもしれない。これから向かうペリリューだってそんなに簡単な海じゃない。でも、それでも、北に行ってきた僕らにはそれなりの自負がある。移動中のボート上でのメンバーは皆そんな顔をしていた。 出発してからおよそ1時間。船は一旦ペリリューの港に入った。ペリリューには南北二ヵ所に港がある。今回僕らが使うのはその内の一つ、南のキャンベック。北の港は商業港でもあるので、栄えている(といってもセメントで桟橋作ってある程度)が、こっちのキャンベックはダイビングボートが停泊するくらいで“のどか”なものだ。ボートのエンジンが止まれば外洋の波の音と鳥の鳴き声くらいしか聞こえない。 ここで荷物を桟橋へと降ろし、ダイビングの準備を始めた。今回、この南北縦断サファリをこの日程にした最大の理由は、後半のペリリューが新月に当たるように設定したかったからだ。そう、狙いはイレズミフエダイの群れ。もう何度も豪海クラブには書いているから割愛するが、あの群れは何度見てもいい。期間限定っていうのも限定モノ好きである僕の心をくすぐるじゃないか。ポイントはイエローウォール、エントリーしてしばらく進むと予定通り数千のイレズミフエダイが僕らの目の前に現れた。ピークのシーズンなら数万の群れになるのだけど、このサファリのあった月ではちょっとシーズンから遅かったか。それでも凄い数のイレズミフエダイにみな喜んでいた。 今回のペリリューでは珍しくイエローウォールでナイトダイブもしてみた。お試しも兼ねてだったのだけれど、これが意外に当たった。サメがアグレッシブで寄って来る、来る。でも、サメも臆病だから僕らが群れでいると一定の距離以上は近づいてこない。魚たちは寝ているし、サメは寄ってくるし、ブルシャークは出るし、さらに一番驚いたのはツノダシの幼魚が居たこと。図鑑に載っている銀色のあのツノダシ。ツノダシの幼魚って思っていたよりも泳ぐのが全然ヘタクソだった。簡単に手で捕まえられるくらい。だから夜中にしか出てこないんだろうな。でもめちゃくちゃ感動した。 ペリリューエクスプレスも外せない。今回のペリリューでの第一目標はイレズミフエダイだったので、このサファリでのエクスプレスは早朝の1本だけ。予想通りイレズミフエダイが産卵をしていた。早朝の目当てはロウニンアジの群れだったので場所とタイミングを頑張ってみたんだけど、居たけど、出たけど、ちょっと遠かった。そんなときもあるか。ナイトも行って、早朝も行って、ってなんか潜りっぱなしみたいだけど、ポイントが近いからあんまり辛くない。それよりも楽しいことのほうが多いから皆行きたがるのも合点がいくってものだ。 今回はイレズミフエダイの日程と合わせたためにペリリュー島は満員御礼の状態だった。予約時、僕らは泊まる宿を取るのも大変だった。で、今まであまり使ったことの無いストーリーボードリゾートを新規に使わせてもらった。部屋にエアコンは無いけど、海沿いなので海風で夜は十分涼しかった。リゾート内のいたるところにある花が訪れた僕らを迎えてくれた。これだけ花が多いのも離島の特徴。花って無条件に嬉しくなるものだ。朝から晩までいろんな発見や出会いがある。自然相手だとイベントが多い。ちゃんこ鍋のような面白さがこの南北縦断にはあるのだと思う。沢山潜って動くから当然お腹もすく、ビールも旨い。夕食までの少しの時間、ちょっと外に出たら斜光の太陽がいい感じの金色の光になっていた。 |
秋野 大 1970年10月22日生まれ 伊豆大島出身 カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。 ミクロネシア・パラオ DayDream PALAU P.O.Box 10046 Koror Palau 96940 Tel:680-488-3551 Fax:680-488-2199 www.daydream.to/palau akino@daydream.to |