南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

パラオの幸せな独立記念日

今日は10月1日。遅れてしまって大変申し訳ありません。9月は前半まで日本に居て、戻ってきたらオフィスの仕事が山のようになっていて、それをこなして「やっとか」と思ったら、シルバーウィークが怒涛のようにやってきて、気が付いたら月が変わっていました。なんとか原稿を書く時間を紡ぎだそうと努力したのですが、どうにもならなかった。

それが月を越えて今日、10月1日になったとたんに仕事がさーーーーっと無くなった。理由は、今日がパラオの独立記念日だから。官公庁はみんなお休み、町をあげて、いや国をあげてのお祭りの2日間が始まる。

今日の午前中はパレードと式典があった。コロールの街中でのパレードはイメージ通りの南の島国ののんびりとしたパレードというか、練り歩きが行われる。結構面白い出し物があったりするのだけど、どうなのだろうか? どうなのだろうか?というのは、僕は行かずに一人でオフィスでコソコソこの原稿を書いているから。休みのスタッフは皆行くと言っていたのできっと式典で盛り上がっていることだろう。ちょっと、いやかなり羨ましい。

昔というか、つい数年前までは独立記念日とか何かそういうイベントの翌日は大体パラオ人は仕事に来ない。本人たちに来ないという意思は無く、来ようと思っているみたいなのだが全力で遊んでしまい、翌日起きられないらしい。なんでそこまで遊ばなくてはいけないのか? 翌日仕事なのだからそのくらいのことは考えながら遊べないのか?

僕は以前、一度だけ疑問に思って聞いてみたことがある。そして返ってきた答えは「せっかくのイベントなのだから、精一杯エンジョイしなくちゃ損だぜ、アキノ!」僕はこの回答をいまでも忘れない。思わず吹き出してしまった。確かにその通りだけどさ。

まあでも、当時はあっけらかんとそんな答えをしていたパラオの人たちも、最近は少し仕事に対する考え方が変わってきたように感じる。少しずつだけど。

今、店の外に明日のボートレースの準備をしている男たちがいる。

様々なボートのカテゴリがあって、誰と、どのボートが速いかを毎年競う。一番上のクラスのトネルボートなんかになると、時速100km近くで走るのだそうだ。軽いファイバーグラスのボートに250馬力から300馬力のモンスターエンジンを載せる。走行中、船体は大きく浮き上がり、船底なんてほとんど接水していない状態で走る。ほとんどエンジンだけで走っているような状態となる。

先日の台風の影響でまだまだ風が強いのだけど、いったい大丈夫なんだろうか。最大瞬間風速で30mもあるこの天気の中で走って飛ばされないか心配で仕方が無い。明日はお昼ごろからパラオで一番の大橋、KBブリッジの下でレースが始まる。店の前の入り江ではしきりに練習であろうボートたちが飛ばしているのが見える。明日は半日だけでいいから、パリッと晴れてくれることを祈るばかりだ。ガラスドアの外側で飛ぶように練習をしているボートたちを見ながら明日の天気を思う、平和で幸せなパラオの独立記念日。きっとこんな夕焼けが出来たら、明日は最高のレース日和になるだろうになぁ。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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