デジタル談義 その18 豪海倶楽部  

【ゆ】

デジタルカメラ使用感、とりあえずのまとめ

デジタルを使いだしてどのくらいだろう? 1年? 5Dの写真番号は10000に近い。

主に、マクロだけだけど、魚を撮るにはいい。特に図鑑には、ストロボ光が平均してまわるので(あたるので)魚の部分、部分がわかりやすいので、大変有利だ。

捨てる写真が少ない。おまけに、RAW現像が、多少の露出の失敗も救ってくれる、らしい。2/3絞りは平気などという人もいる。画面上では確かにそうだ。問題ない。

特に明るくするほうは強い。これはポジでも一緒だけど。

【こ】

なんかいいことづくめですね(笑)。

この連載が1年半以上続いていますから、もうデジタル導入から1年以上経っていますよね。「こんなもん使い物にならりゃしねぇ」だと、さっさと終わっていたんでしょうけど。

いろいろな許容範囲が広いのは間違いのない事実ですし、それを最大限に生かす方向で撮ってられますし。

【ゆ】

プリントはどうかな? 失敗を自動補正する機能のあるやつだと、さらに平気なのかな。僕のプリンターはデータをいじりすぎて、壊れてくるのを反映させるためのものだけど・・・プリントの元のデータの許容範囲は?

【こ】

一概に「何絞りまでは許容範囲」というのは言えないと思います。「データ」としては飛んだりつぶれたりしたものはダメですけど、「写真」としては正解の場合も多々ありますし。

ただ自動補正に対してはプリンタだけではなくレタッチソフトなども含めた一般論ではありますが、水中写真は想定されていませんよね。そしてあまりにも特殊な状況が多いですから──露出(差)や色温度などですが──なかなかいつも上手くは処理してくれないですね。

もちろんかなり決まる時もありますけど。少なくとも印刷所の熟練オペレーターのような仕事はしないですよね。

【ゆ】

で、雑誌などの印刷に対しての許容範囲は、まだ僕にはわからんです。まだまだ回数が少ないので。

というわけで、モニター、プリント、(商業)印刷と、画像の使いではいろいろで、1番厳しいと思われる印刷は、一般的には関係ないもん・・・と言われたりするし、写真の技術の部分を語るのも、ポジ時代のように1つの価値観で語れないから、難しい。

【こ】

商業印刷に関しては、カメラマンと印刷所との間、つまりデザイナーや製版(すでに「製版」はしませんけど)の段階でデータの扱いが疎かになっていた・・・はっきり言えば不勉強からかなりめちゃくちゃになっていましたけど、さすがに最近はそういうことも少なくなってきているような気がします。

【ゆ】

プリントも大きくしなけりゃもつだろうし、だけど今のプリンターは高性能かつ8色だとか使用してるので、光学的な銀塩プリントより、大きくできる。5Dなんて畳2枚でもいくからね。しっかり撮れてれば。

【こ】

エプソンにしろキヤノンにしろローエンドのプリンタは今でも4色ですけど、ハイエンドのものとは全くちがいますもんね。

ただ「どこまで引き伸ばせるか」という点に関しては、まぁA4ぐらいであらが出ない程度に撮れていれば、あとはどこまででも伸ばせますね・・・もちろん「適正な鑑賞距離を保つ」ということが条件ですけど(笑)。

【ゆ】

そうそう、A4が、どこまで持って感じで、そのままな感じ。光学との差ですね。

ちょっと話は脱線したけど、やっぱ後で確認できるのは、いいよね〜。

ヒストグラムで判断するのは、撮影する画面によって、だいぶん左右に山がよるから、けっこう難しいな〜このへんはさらなる解説できるかな?

【こ】

基本的な考え方は「その4」に解説してあって、理論的にはあれ以上のことはないんですよ。必要なのは慣れですね。まずは写真を扱う時のフォトショップには必ずヒストグラムを表示しておいて「こういう絵の時には、こういう山になる」というのを見慣れれば、もうこれでほぼ大丈夫です。

ひとつ落とし穴になりがちなのが「山の高さは絶対値ではなく相対値」ということです・・・ここは疑問に感じていない人は見飛ばしてください。説明を聞いたほうが混乱すると思うので(笑)。

あとはカメラが表示するヒストグラムのクセをつかむことですね。同一メーカーなら似た傾向にあると思いますし。

【ゆ】

でも映る画面でも、いい加減とはいえ目安には十分なるよね。各自のソフトで見た時の差を覚えてけばいいんだから。ちなみに、僕のバイオは明るく出すぎる(なんの調整のされてないので、2/3絞りぐらい違う、本当の明るさと)

【こ】

本来はモニターの輝度はできる限り──色味以上に──きちんと調整したほうがいいんですけどね。

ヒストグラムだけでは白飛びしていることはわかってもどこが白飛びしているかわからない・・・つまり絵的に飛んでいいところが飛んでいるのか、飛んではいけないところが飛んでいるのかわからないですからね。これは特に明暗差が激しくなってくるワイドではかなり重要だと思います。

【ゆ】

俺みたいな、水中撮影しかしてない人間でも、つい周りが白くて反射が多くて、ひと絞りぐらい絞らなきゃいけないのに、ふと忘れちゃったりする時あるからね〜楽ですね〜。

それより有利なのは、フィルムがなくて撮影チャンスをのがすことがないもんね。貴重な瞬間をね、前に中村こうじさんと撮影中、こちらはフィルムアウトで、アオサハギの求愛に出会って、向こうはやっぱり終わってたんだけどデジタルだから、いらなそうな写真を消しては、撮影してたな、ずるい!

【こ】

いまや8GBのCFが2万円以下で買えますからねぇ。水中で消す、という作業も本当に必要なくなってくる・・・というか、自分らのようなアマチュアは3、4日のダイビングであればCFカード1枚で済んでしまうようになってきました。

バックアップが不要、というわけではないですけど。

【ゆ】

そうだよね〜うしろのボタンもいらない部分あるね。

その他にも、ホワイトバランスをかえられるとか、沢山有利なとこはあるけどね〜

だから、このハゼの写真、前後がいろいろあるんだけど、取り逃がさないよね。セットでストーリー撮れるよね。

【こ】

「取れる枚数に制限がなくなると1枚1枚がおろそかになる」なんていう人もいますけど、こと生態系に関しては圧倒的に有利ですね。

【ゆ】

おろそかになるのは、ホント、っていうか1発勝負に弱くなる。自然の場合1発もあるからね〜ま〜トータルで、どっちがいいかだから。なにも沢山撮る必要ないし。

【ゆ】

撮影データに関して

マクロ撮影でのストロボの露出ですが、近距離ではポジ時代と別に変わらない感じ。

1m以上の遠い所が違うかな。なんかストロボが遠まで届く。

5D 100mm(APSだと60mm の画角) 1/125 f8 水深12m 被写体の大きさ50cm ISO100 ノートリミング パラオ)

【こ】

感度の特性が違うんですね。ポジだとほとんどつぶれる背景が意外とちゃんと写るなんて場合もそうですよね。暗いほうの諧調性に優れている・・・ただ明るいほうがまだまだ弱いですけど。

【ゆ】

ポジだと感度100で、1/125 f5.6ぐらいで撮影すんだけど、青が明るすぎるので8を選択。それでも多少届いてるかな、ストロボ。というわけで、遠くにはやはり強いね。青かぶりも少ない感じ。青かぶりの取り方なんて高度なことはできない僕ですから、撮ったままです。でもポジでは50mmとかで撮るサイズの魚だね。

そういうわけで、100mmマクロがカバーする範囲が広がったかもしれない。

これで印刷できるのか?は、まだ確信がもてないけど。15cmぐらいに印刷できたらありがたいけど・・・

【こ】

細部はこの大きさでは見えないですけど、十分耐えられると思いますよ。

【ゆ】

うちのプリンターで出して、平気そうならいいのかな?

【こ】

使う大きさにもよりますが、A4で出してOKならば99%大丈夫だと思いますよ。

【ゆ】

ひつこいですが、そのうち青かぶりの取り方なんて解説してちょうだい。

【こ】

そんなあなたに・・・なんかこんなのが出てくるようです(笑)。

作例を見る限りでは、なんかすごいですね。自動処理に関してはけなしていましたけど、これは水中写真に特化したものですから、かなり使えるのかもしれません。試用版がダウンロードできるようになっていますので、ちょっと試してみなくては、ですね。

ただ一番の心配は・・・どれだけ売れるのか?こんなにマーケットが狭いものが、という点です(笑)。

実際には、これに頼ってしまって開発・製造が止まってしまったらどうしようもないですよね。普通のレタッチソフトの場合は使い続けることができますが、RAW現像ソフトの場合、機種ごとの対応が必要なんでカメラも同じものを使い続けなくてはいけないですから。

青かぶり取りは来月にでも解説しますね。フォトショップではいくつか方法がありますが、基本的には「その3」で解説した緑かぶり取りと同じ考え方です。かぶっている色を落とすか、その色と補色関係にある色を加えるか・・・周囲の色などにできる限り影響しないように、その2つをブレンドする感じですね。

【ゆ】

慣れかもしれないけど、すごすぎて不自然かな。なんとなく自然ぽいというか、適度に青かぶりが、素敵だから。青の使い方が命だからね。でもうまく使えば、か。

とても、ソフトをうまく使うまでは。道のりとおいね。俺。カメラ、レンズ選びでさまよってるからね。5D、30D、キッスXといまあって、陸で試し取りしてみるが、どのデータがいいのかが、ピンとこない、一体どうやって判断するんだろうか?

【こ】

この連載の最初に指摘がありましたけど、青かぶりを一切取りきっちゃうとやっぱり不自然・・・ですよね。デジタルの場合、その場でホワイトバランスをマニュアルでとってしまえば、まったくかぶりなし、ということも自然光でできなくはないわけです。(水深が一定以上だとどうしても不自然さは残りますけど)

ただ、それが写真としてはどうか?ですよね。

ソフトはやっぱり使い方次第であって、「jpegで撮りっぱなし=処理はカメラ任せ」では一定以上のものは出てこないのと同じで、自動処理に頼るのは大きく危険をはらんでいますよね。

画像の判断はやっぱり最終的にはプリントしてみて、でしょうね。ただプリントの仕方次第で出方はがらっと変わるので、きちんと筋の通ったプリント方法を習得しないと判断材料になりませんし。難しいですよね。

【ゆ】

さて、作例の続き。

どうしても俺はポジとの比較になっちゃうな。ま比較検討中なのがホントだからしょうがないけど。

5D 1/90 f8 水深10m 被写体の大きさ20cm ISO100 ノートリ

ウミシダに擬態するハナミノカサゴ? ま〜たまたま、ちょっと青に奥行きがなくて、塗り絵みたいな感じ。PKRというフィルムからベルビアにかわって感じたことが、そのまま、さらに塗り絵っぱいのが、ちと辛いか、

【こ】

「塗り絵」というのは特にキヤノンのデジタルカメラに対してよく言われていますね。結局ノイズレス(あるいはノイズのつぶしすぎ)が原因なんですけどね。ポジの粒状感が減っていき、綺麗に見えるようにはなったけど立体感のようなものが欠如していったのと同じような感じです。

で、そんな時にはフォトショップの「フィルター」で少し「ノイズ」を加えてやるんですよ。「分布方法」は「ガウス」で量的には1%やそこらでも十分な場合が多いです。

綺麗に撮れているものに・・・という感じですが、これで結構改善されることがしばしばあります。広告写真では人肌も含めて多用されています。

これをしないと「あゆ」のように人間というより「人造物」に見えてしまうんですね(笑)。毛穴などの微小な凹凸があってこそ「肌」に見える、ということです。

【ゆ】

奥がふかすぎる・・・悩み多い・・・

【ゆ】

新兵器

ところで、我が家にINONがやってきました。

Kissを買ったんだけど、操作性が5Dと違うので、かなりとまどう。30Dはほぼ一緒なので楽。Kissは絞りとシャッタースピードを1つの場所で変えるので、ボタン押しながら変える。これが苦手・・・あとファインダーが小さいのも、苦手。値段は3〜4万差。

で、イノンの30D用を買ってみました。

【こ】

ありゃま・・・我が家のイノンはまだ新品のままですが(笑)。

あの「ボタンを押しながら・・・」というのは、水中では使えないですね。ハウジング越しで自由にできる操作ではないです。

【ゆ】

それは、作り方である程度は、ボタンをおしっぱなしのスイッチつくれば、普段は露出かえる役目、それをはずしてSスピードにできる。製作中のものはそうしてます。

もっとも、キッスのハウジングは主にTTL用になりましたが。6ピン作って。

【ゆ】

写真解説

もう1台が5Dですね。この状態で30Dのボディーは1740g、5Dは2230g。ポートは別です。5Dはグリップついてです。

グリップつけなきゃ使えないのに、ボディーの重さだけ出してるカタログがあるけど、使える状態で比べないと意味ないすよ。

ただ僕は、グリップは右は欲しいので、ちと心配です30D。左は無駄という考えなのだけど。で特にこの頃の器材は、小型化が進んでいるので、水中で重い。

両手で撮影すれば、いいけど、僕は片手のことが、本当に多いから、重いと辛い。でも小型のメリットは大きいので、しょうがないともいえる。やっぱ、浮きつけるしかないかな。

【こ】

浮きは・・・邪魔ですねぇ、自分も付けていましたが。ただ、メリット・デメリットを比べると結局付けるしかなかったです、自分の場合は。重量は・・・水中重量も含めて、ストロボ・アーム類までちゃんと出して欲しいですね。

それにしても5Dのハウジングがいかにコンパクトにできているかよくわかりますね。中のカメラは一回り以上大きさが違いますもんね。

ポートリングは?

【ゆ】

イノンはコンパクトですが、我がハウジングも、グリップつけてそれと500gしかちがわないんだよ。実質300g。

昨日カメラをいれて水中重量をはかってみたらこのポートでイノン-600g。これはアンティスのF90が-750gだったから(似たような装備状態で)もっと重いかと思ってた。コンパクトだから。でRSに28mmで-1100g。5Dは-300gで、重いと悩んでる。前の1Vは-200g。

ストロボはまた別だし。アームは重いし。トータルでかなり重い。で、短いコードとか作って水中重量50g軽くなったとかやってる。100gって陸で言うとたいしたことないけど、結構大きな数字なんだねこれが。

ポートリングは、特注水中技研製。ジュラコンで陸でも水中でも軽い。100gぐらいすぐ変わっちゃうよ。コンパクトの極みイノンと俺のハウジングが、実質300gしかかわらないから、けっこうつける部品っておおきんだよ。

ゴウカイで、こういうの安く買えるようにするか?

【こ】

ああ、それはいいですね。よく共同購入みたいなので、「何個以上集まれば値段これで」で、オーダーを集めれば集めるほど安くなる、というのだったら数もけっこうはけたりで、メーカーさんも喜ぶのでは。

【ゆ】

ところで、i1を買いたいんだけど、どこがいいかな?

【こ】

いよいよ必要性を感じてきましたか(笑)。

自分が「モナコ」を買ったときには、結局ヨドバシでした。値段から考えて。結局、写真専門店だと高いですよね。

ただ在庫があるかどうかは・・・ヨドバシドットコムだとスパイダーしか出ていないですね。

取り寄せてくれるとは思います。

【ゆ】

ビッグにありました。ちょっと色かわってきたな〜って感じ。俺は陸サツしてる人なんかにくらべたら、ほんとどうでもいいレベルで考えてんだけど。それより青の印象の作り方が、進化しないと。

【ゆ】

現場にもってくバイオですが、アイワンで明るさの調整できるかな? 現場でもだいたいは見れたほうがいいからな〜

【こ】

もちろんノートであっても使えますよ。そもそもキャリブレーション機器って、「調整」するものではなくて「測定」するものなんですね。ずれを測って、それと逆方向に振るデータをパソコンに渡すわけです。

ところがひとつ問題なのが「環境」なんです。周囲の明るさと色温度ですね。キャリブレーションの際には必ず環境光も測るのですが、持ち運び前提のノートの場合、環境光を無視せざるを得ないですよね。PC上は一定の明るさであっても、昼間の屋外では暗くて見えないですし、暗い室内だと明るすぎる、ということが起こってしまうわけです、極端に言えば。

キャリブレーターも持ち歩いて、そのたびにキャリブレーションするのもひとつです・・・この方法も1週間とか同じ部屋に滞在する、とかなら十分に現実的です。

【ゆ】

まとめ

どうも俺が話してると、ちょっと俺、私には関係ないみたいな部分もおおいかもな〜〜

で、ガイド諸君の素朴な疑問ももっとあっていいんじゃないかな?

基本的な理論はもちろん大事だが、個別具体的な不満を解決もいいな。掲示板にでも書き込んでね。

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