デジタル談義 その21 豪海倶楽部  

【ゆ】

Z240 使用感想

S-TTL使ってみました。ハウジングは30Dイノンです。一言でいえば、かなりびっくりの精度でしたよ。1ヶ月1000枚以上とりましたので、かなり色々な環境で試しました。レンズはタムロン90mm+ケンコーのデジタルプラス1.4倍です。

【こ】

精度に関しては使っている人の言葉なんで重いですよね・・・そのあたりに関しては雄輔さんは決して「甘く」ないですし。

陸撮りでは評価も高くファンも多いタムロンのマクロですが、フォーカスリングなどはイノンのものですか? それともどこかの流用でしょうか?

【ゆ】

ちょっと工夫いりますが、イノンのです。このレンズ、オートフォーカスとマニュアルの切り替えの方式のせいで、ハウジングにいれるときに、磁石のせいで動いちゃうんですよ。レンズを前にスライドして切り替える。そこで前にスライドしないように,結線バンドでとめてます。

【こ】

ギアかと思ったら、磁石リングのほうですか! レンズ自体はうまく入るのですね・・・ケラレもなく。

【ゆ】

35mm換算で、126mmマクロで、キャノンだと1.6倍相当で約200mmです。126mmなので、前に使ってた35mmポジのキャノンの100mmに1.5倍のテレコンより、だいぶピントが楽です。

泳ぐ幼魚もかなり追える。で30Dだから200mm相当で撮れるわけです。フルサイズで撮れば,同じレンズの組み合わせでトリミングを2/3で同じデータ量が残るのでおなじことです。

【こ】

この「フルサイズからトリミングしても結局ほぼ同じデータ量(画素数)が残る」というのがミソですよね。フルサイズはなによりもファインダーが大きい、というアドバンテージはありますが。

【ゆ】

フルサイズで考えれば126mmですね。このレンズだと、1cmとかいう被写体が、距離50cmぐらいでも使える大きさの写真になり、距離感がちょうどいい感じ。150mmで泳ぐ小さな被写体を追うのは結構たいへん、最大5cmサイズの被写体がとれればいいという狙いです。5Dの100マクロもってるし。

【こ】

我々のようなアマチュアが。1台持って入る、となるとちょっと被写体が限定されすぎてしまうセットですが・・・。

【ゆ】

もちろんそうだね。でも90マクロはいいよ。イノンの場合使えるポートないかもだけど。どこかで作る手間考えたら、100でいいけど。60mmマクロが35mmサイズの100なのに、みんな100使ってるけど、これも被写体は限定されるといえなくもない。楽だけどね。

【こ】

確かに画角のことを考えるとそうなんですけど、できるだけ大きく撮ろうとすると・・・最小撮影距離(等倍)はどんなカメラで撮っても同じなんで・・・画角的にはほぼ100mmでも暴力的に寄らなくてはならないですよね。そうなると使いにくい面が多々出てくるかと思います。

【ゆ】

で、小さい被写体を、今までは距離で露出を決めて、その距離でピントがあったら撮影する・・・としてたわけですが、デジタルに変えて、なんせ数が撮れますので、背景を青に抜いたり、図鑑向けだったり、いろいろ一つの被写体で撮影が可能になってきたし、がんがん失敗を怖れずに撮れる。攻められるわけです。そうなるとやることが多いので、いちいち2個のストロボの強弱を調節するのも面倒な仕事の一つです。というわけで、S-TTLを試してみたのです。

【こ】

守りではなく「攻め」というところがミソですね。

【ゆ】

うん、そうだね。数もとれるし、ポジより攻められる。

このシステムは、中身のカメラのTTLの性能をいかすわけで、キャノンのE-TTL2は、昆虫写真などで飛んでる被写体で後ろが抜けてる写真などに対応するよう進化しています。友人が開発に関係してるんですけど、水中写真の状況に近くなったわけです。

【こ】

その進化によって、使えるレベルまできている、と。

【ゆ】

メリットはでかい。デメリットは他のマニュアルのハウジングに戻ったとき、計算能力がおちるかな・・・。

【ゆ】

光コード

イノンの光システムも昔はハウジング内に発光させる部品が入ってたので、僕みたいに水没しやすい人間は、現場でつかえなくなるのがこわかったけど、今はカメラのストロボの光を導くだけ。故障の原因が減った。コードだけでも、電気コードより2本使えば100g以上軽くなります。水中重量の軽減になります。コードの耐久性も、あれ途中で切って使えるし、予備も軽いし、接続部の水没もないし。前に使ってた印象では,問題なかったですが・・・

【こ】

まあ、どんなシステムでも水没すれば使えなくなりますが(笑)。

重量軽減の観点も確かにありますね。耐久性に関しては、自分はいくつかだめにしたのでちょっと・・・なんですが・・・コネクタの近くで切れた場合は、切って嵌めなおせばいいんですが、カール部分だとムリなんですよね。

ただ、コード途中部分がぶらぶらしないように、アームなどにちゃんと巻いたり、100均でも売っているような細めのマジックテープで固定したりするとかなり違うかとは思います。

水没の可能性がゼロというのもいいですしね。

【ゆ】

俺のマニュアルの単純なハウジングは水没しても、洗ってつかえますよ。電気部も接着剤で保護してあるし。

【こ】

そうですか。電気部品って意外と水に強かったりしますよね。「パソコンのキーボード(もちろんノートはダメですが)は水洗いに限る」と言っていたりしますし(笑)。

【ゆ】

話は脱線しましたが、状況により、これはTTLの補正をしたほうがいいかなと思われる状況で補正しましたが、ほとんどいらないという感じでした。ストロボの露出,あたり方も人それぞれ好みはあるわけですが、240の方でも少し軽くとか、自分好みのセッティングが可能ですし、カメラボディーの方でも、1回1回補正もできるので、TTLの特性を掴んでから,セッティングをすればいいわけです。あまり、いらなかったけど。理想ではないですが、多少の補正もできるのがデジタル、最初は怖いので1/3ぐらいアンダーでとってみたんですが、普通のがいい結果でした。ある種自分好みのTTLにできるわけです。

【こ】

カメラ本体でのストロボ補正は 1、ボタンを押す 2、ダイヤルを回す、の2段階になるので、ちょっと現実的ではないんですよね、水中では。だから絞りをいじらざるを得ない。

ただ、もっと大元の話しとして、1/3程度の露出の補正なら、現像段階でやってしまってもほとんど問題が出てこないのが現実ですしね。

【ゆ】

しぼりいじってもダメだよ。TTLなんだから、

【こ】

あっ、そりゃそうだ。いつもマニュアルなもんで・・・といっても、陸上ではTTLに頼りっきりですけど。

【ゆ】

ストロボの距離とパワーの関係で、遠いのにしぼりすぎなら開ければ届くようになるけど、絞りにより届く距離は覚えないとダメだね。初心者の人は。でも1mならf8までとかなら覚えられるよね。

ハウジングによるストロボ補正もそれ程大変ではないですが、押すボタンの位置がハウジング右側ですから、やりにくいことはやりにくい。これはカメラの方の設計なのでしょうがないですが、ボタンを押しっぱなしにハウジングで作るというのもありかもです。

また脱線しますが、デジタルには露出を変えて写真の感じを変えるってことが、ダメな気がしてます。あくまで適正で撮るものなんですね。フィルムだと、露出によって色の感じが変わるのを利用してたりするんですが、この作業はあくまで後でやるもんですね。そういう意味では予想する必要がないから簡単ですね。

【こ】

ああ、そういうことはまずないんでしょうね。むしろ色温度をオートにしていた場合のブレのほうがはるかに大きいと思います。

まあ、それにしても現像段階で全くの劣化なしでいじれますし。

【ゆ】

もうこのハウジングは240によるTTLで使うことに決定ですね。

マニュアルでも当然失敗するのですが、あらゆる状況を考えると、僕のマニュアルでの失敗数より,少ないです。失敗しても、補正すればいいんだし。添付の写真f5.6で撮影、シャッタースピードはマニュアル。

絞り込んだ写真も,開けた写真もストロボいじらないので簡単です。

【こ】

いろんなタイプの写真を必要としている人にはすごく便利ですよね。

【ゆ】

水納島で水深10m,感度は100で考えるとF5.6だと、自然光は1/125で、下は砂地ですからかなり明るめと考えてあとは押すだけで簡単に写真とれました。もうちょっと自然光を殺して1/180とか、ストロボを弱くで1/3補正しようとか考えて、撮るだけです。

マニュアルだと距離が30cm程ですから、フルでF32ぐらい。F5.6で撮るのは、5段階落としでいじるわけで、理屈がそんなに難しいわけではないですが、シャッタースピードだけ考える方が楽にはちがいない。

ま〜最初に結論いっちゃったけど、ホントいいです。5Dにはストロボついてないから、このシステム使えないけど。その場合は電気コードで外部ストロボオートを使うそうです。まだ試してないです。

ニコノスRSなんかは古いからTTLの精度とスピードがよくないでしょうけどいずれ試してみます。

【こ】

TTLにしろオートフォーカスにしろ、「あの時代」の性能で考えている人が多いですけど、ものすごく進化しているんですよね。

ただ、「外部オート」のストロボに関しては昔からほとんど進化していない(進化のしようがない)ので、同じように考えると?ってことになると思いますよ・・・コンデジでずいぶんと苦労しました。

【ゆ】

S-TTL、外部オート、マニュアルと沢山の機能がストロボについてて、ものによりストロボにはってある、シールの位置もだぶってるので、覚えるの大変です。それで使いにくいとか言ってる人もいたから、マニュアルの人用シールとか売ってるといいのかもしれません。とにかく付属のマニュアルは読まないと使えませんよ,今の機械・・・

【こ】

そうそう、人に聞く前にまずマニュアルを読みましょう(笑)。

【ゆ】

240のパワー

付属のフィルターの-0.5をつけて220Zと同じ感じです。光やわらかくていい感じだし、220と同じに使えて楽です。

フィルター

付属のフィルターは使ってみて、すごく色がいいのに気づきました。だいたい黄色がかぶって、色がにごるんですが、それがない。デジタルだからポジよりは直しやすいとはいえ,直せば他に影響するし。イノンに聞いてみたら、相当意地になって開発したみたいです。

【こ】

S&Sのフィルターなんて見るからに「黄ばんで」いたものもありましたもんね。ただデジタルの場合、そのあたりも吸収しちゃったりしますけど。だけど本当に細かなところまで気を配っているんですね。

【ゆ】

望まれること

S-TTLで2灯使って撮影すると、左右同じ強さの光になります。陰を作れないわけです。これは僕にはこまります。そこで付属の-1.5のフィルターをどちらかにつければいいわけです。けれど-0.5をはずして−1.5をつけないといけないですから、かなりめんどうです。

実際的じゃないですよね。そこで-0.5をつけてる上から-1.5をつけられるといいので、そんなふうに改造したいと思ってます。

【こ】

ここがオートの大きな弱点のひとつですね。フィルター全種をストロボからぶら下げて潜っている人もいたりします。

【ゆ】

がはは、たいへんだね。なんとかしてほしいよね。イノンがとりあえず試験で1個つくってくれることになりました。

TTLの精度がダメと言ってる人がいると、前にコースケさんから聞きましたが、僕のはイノンのハウジングだから、そのあたりは当然適正にできてるでしょが、光コードの取り付けと、中で発光したストロボ光の導き方などシビアな部分があるそうで、イノンからアナウンスされてます。

【こ】

ああ、そういうところまでいろいろと問題になるわけですね。確かに他社のものは「光ケーブルを取り付けられる」レベルどまりでしょう。

あと、光ケーブルのカメラ側の断面(もちろんストロボ側もですが)はきれいにしておきましょう。本当に細いところですが、あそこが汚れているとどーにもしょーがないです。

【ゆ】

まとめ

デジタルから少し離れましたが、デジタルがらみの写真談義もいりますね。まだまだデジタルをこなしてないので必要ですが。

デジタルでもポジでもやることがというか、目的はいっしょですから。ただ、HPでみせるとか、プリントがある程度できればいいという一般の人は多いでしょう。補正してプリントしてくれる機械があると、ま〜細かいこと考える,必要ないという人も多いだろうけどね〜

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