南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

ジャーマンチャネルに学ぶ


僕がパラオに来て最初に夢中になったネタがある。それは大潮の上げ潮時にプランクトンの捕食のために訪れるマンタだ。

すいません、平凡なネタで・・・

でもそのマンタがプランクトン捕食のために大口を開けて何枚も同時に宙返りを繰り返す光景はいつ見ても感動的。何とかしてその光景を当てられるようにと、潮が上げ始める前から何度もスキンダイブで様子を見に行ってタイミングを計っていた。

潮が上げ始めるとまずサヨリの仲間が現れて次にグルクン、そしてミナミイスズミやテンジクイサキが固まりだし、その後にマダラタルミが固まって口を開きだしたらマンタの潮時。

今じゃダイビング雑誌にだって載っているようなことですが、当時は誰も教えてくれなかったので一人でそのパターンを見つけて喜んでいたのも束の間、潜れば潜るほど「例外」に当たることが多くなってきた。マダラタルミがバクバク大口開けて餌食ってるからかなり強気なブリーフィングをして飛び込むものの肝心のマンタが出てこない。

そりゃ辛いわけですよ。このままじゃ完全にオオカミ少年になってしまう、ってことで探し始めたのが外す時のパターン。同じように見えていたマダラタルミの向いている方向が少しだけ違う。群れの固まり具合が少しだけバラけている。全然関係なさそうな小魚の泳層が違っている。そんな微妙な違いをチェックしたら今度はいつも出る時のパターンとは違う場所を探ってみる。「いた!」あるいは「いなかった・・・」それが次のデータになっていって・・・

それと一緒にやっていったのが仮説を立てること。

たとえば「当たるパターンの時と外れるパターンの時でアカモンガラの泳層が違うのは深いところの潮もしっかり上げてきているかそれとも上層の潮だけが上げてきているかの違いで、それによってプランクトン量が変わるから同じ上げでもマンタが出る時と出ない時に差があるのではないか?」

で、今度はそれを検証していくとうまく理屈が通る場合もあればもちろんあんまり関係なかったって結果も。たぶん性格ですね。こういうの好きなんです。

そんなことを9年も繰り返していればそれなりに出る出ない、どこにいるかいないかが分かってくる訳ですが他のポイントで違う魚を攻める上でもこの方法が役に立っています。

いろいろな海を潜って経験を積む事がガイドとしての経験値のアップに繋がることもあるのかもしれないけど一つの場所をいろいろな角度から潜りこんでそこで得たものを他の場所に応用させていくってことがいかに大事かをこのジャーマンチャネルは僕に教えてくれたわけです。

この夏はいろいろ他のエリアにお邪魔して勉強させてもらいましたがやっぱり地に足つけていないとダメなんですね。帰ってきていきなりジャーマンチャネル読み違えたからなぁ。反省反省・・・


遠藤
遠藤 学

1973年生まれの東京人

学生時代に所属していたダイビング部のOBである現オーナーにサラリーマン時代の1/8の年俸でヘッドハンティングされ、パラオに移り住んで早9年目。

七色の技を繰り出す怪しいガイドで独自の地位を築くも、年々ハードルが高くなるお客様のリクエストに応えるため日々技の開発にいそしんでいる。

次の目標はバショウカジキ。うまく魚が技に反応すると「来た〜」と、言うより「食ったぁ〜」と叫んでしまう釣りバカでもある。

ミクロネシア・パラオ

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