ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(7)

[ボーダーライン(境界)を探る楽しみ]

前回は伊豆諸島から高知にかけて分布するヨゴレヘビギンポという種類を紹介した。このヘビギンポのオスはメスへの求愛時、派手な真っ赤な体色に変わる。(先月の記事参照)

3年前、僕は屋久島に来て驚いた!

「こっちのヨゴレヘビギンポは、求愛時真っ黒になるぅ〜!!!」

そりゃ〜驚くよ。。。どう見てもヨゴレヘビギンポにしか見えないヤツが、どいつもこいつも真っ黒なのだから。。。(-_-;)

調べてみると、こいつらはヨゴレヘビギンポではないらしい。つまり琉球列島より南で見られるヨゴレヘビギンポとされていた連中は皆、まったく別の種類である事が分ったのだった。更に調べてみると、驚きの新事実が!

実体がイマイチ掴めず、日本にそんなヘビギンポは本当にいるのか??と思っていたアヤヘビギンポという種類がいるのだが、こいつらがまさにそのアヤヘビギンポだったというのだ。。。

ここで興味深いのが、このアヤヘビギンポとヨゴレヘビギンポの分布の境界線はどこか?って事。。。

【アヤヘビギンポ】
ヨゴレヘビギンポとアヤヘビギンポは、通常時の状態はとてもよく似ている。。。(下の写真はアヤヘビギンポのオス)

婚姻色を見るまでは種類の特定はかなり厳しいのだ。だからこそ、これまですべてがヨゴレヘビギンポだと思われてきたのだった。

ヨゴレヘビギンポの婚姻色は赤、アヤヘビギンポの婚姻色は黒。今のところ伊豆諸島、小笠原、紀伊半島、四国などではヨゴレヘビギンポが、鹿児島県・坊津以南の薩南、琉球列島ではアヤヘビギンポが分布しているようだが、その分布の境界線がどこになるのかとても興味深い。はたして、2つの種類が同時に見られる地域があったりするのだろうか?

宮崎などあまり海の様子が知られていない地域の状況が気になる。。。

ちなみに下写真がアヤヘビギンポのオスの婚姻色だ。


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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