ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(11)

[ヘビギンポが難解な原因]

ヘビギンポは非常に難解だ。

ヘビギンポの仲間は比較的浅い水深に多く見られ、観察がしやすいにも関わらず、その分類がなかなか進まないのはナゼだろうか?

その一番の原因は、ずばり「どれもみんな同じに見える!」って事だと思う。どれも似たような体色や模様を有し、同じような体型をしている。

そして多くの魚がそうであるように、ヘビギンポの仲間はその環境に合わせてコロコロと体色を変えるからやっかいだ。つまり、その一瞬を切り取ったに過ぎない"写真"ではなかなか同定が難しいのだ。

そんな中で唯一とても分りやすいヘビギンポがカスリヘビギンポだ。

【カスリヘビギンポ】

カスリヘビギンポは屋久島以南の海で普通に見られる大型のヘビギンポだ。

このヘビギンポは上顎よりも下顎の方が出っ張っていて、これは他のヘビギンポには見られない大きな特徴だ。この肉眼でも見られる特徴とかなりの大型種である事から、このヘビギンポだけは迷うことなく識別できるだろう。

ちなみにカスリヘビギンポ属(Ucla)は今のところ、この1種のみが知られるだけだ。

僕のホームグラウンド・屋久島でも多く見られる種類なのだが、なぜか未だにオスの婚姻色や産卵シーンが見れずにいる。。。

多くのヘビギンポたちは繁殖期に入るとオスが決まった産卵床を構え、そこからあまり動かなかったりするのでオスの個体識別も容易なのだが、カスリヘビギンポに関してはオスが決まったテリトリーを守っている様子も見られず、産卵床の特定もできずにいる。

と言う事でカスリヘビギンポの婚姻色に関しては、知人より写真を拝借。。。


写真提供:宮本育昌

これがまたスゴイ!

婚姻色が赤くなる事は想像できたが、背ビレの模様がここまで派手になるとは。。。(-_-;)

ぜひ、実際に海の中で見てみたいものだ。

繁殖シーズンは春〜初夏のようなのだが、来期こそはオスの婚姻色をバッチリ押さえてやるぅ〜!!


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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