ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ | 豪海倶楽部 |
ヘビギンポ偏愛(29) お久し振りです! シーズン中の忙しさから、「ちょっとだけ。。。」と思っていたのに、ずいぶんと休みすぎてしまいました。(笑) ゆうすけさんに愛想尽かされる前に復活せねば。。。(-_-;) もちろん、まだまだヘビギンポは続きます!(^^) 【セグロ似その1(ヘビギンポ属の一種9)】 ヘビベース!のようなヘビギンポのデータベースを運営していると、送られてきたヘビギンポの写真をどこかしらの属に分類しなければならない。 でも「○○○ヘビギンポにメチャクチャ良く似ているんだけど、何かどこか違うな〜」という種類がいくつかあって、そのような場合はとりあえず「○○○ヘビギンポ」という事で処理してしまう。 そうなるともうお蔵入り状態で、そのうちに調べよう。。。などと思っていても、結局何もせずに放置状態に。。。 そんな「よく似ているんだけど何か違うんじゃないか?」系が多く混在するヘビギンポのひとつにセグロヘビギンポ(前に紹介済み)という種類がいる。屋久島でもよ〜く観察すると、この”一見セグロヘビギンポ風”の子は2パターンに分かれる。 単純に浅場(〜20m)と深場(20m〜)にいる子はその顔つきから別種ではないか?と前々から思っていたのだが、実際に水深をメモしながら3日間ぐらいかけて一気にセグロ系ばかり100個体を横位置でまとめ撮りしてみた。(ヒマでしょ?(^^;;) それを水深別に並べてみたところ、やっぱり-20mを境に浅場と深場とでは完全に2つのタイプがいるっ! そのうち、僕が「深場タイプ」と言っているのがこの子だ。 オスの婚姻色が褪めた状態 だいたい-18mくらいからチラホラ見られ始め、-10m以浅ではまったく目にすることがない。-30mぐらいになるとセグロ似の子はすべてこのヘビギンポだ。 このヘビギンポとセグロヘビギンポとの大きな違いは口先が丸いことだ。 セグロヘビギンポと呼ばれるヘビギンポは吻部が尖っているのだが、このヘビギンポの吻部は丸みがある。また成長段階に関わらず、1枚目の背ビレの後部に必ず黒斑があるのが特徴なんだけど、これは肉眼ではかなり分かり難い。尾鰭の付け根にはっきりとした黒斑があるのも特徴だろうか。。。 若魚?メス? いずれにしても、ある程度ヘビギンポを見慣れないと、この違いは分かり難いかもしれない。。。(^^;; これがヘビギンポを難しくしている理由なのかもしれない。 現在、鹿児島大学の方に持ち込んで、このヘビギンポを含むセグロヘビギンポに良く似た数種を一通り比較して詳しく調べてもらっているのだが、 国産では該当する種類がいないので、日本初記録は間違いないと思うのだけど。。。 沢山いるヘビギンポなのに初記録も何もないのだが(笑)、ヘビギンポという魚はこんな感じでごくごく普通に見られる種類で、未だにその存在が認識されていないものが多い気がする。。。 そこが面白いところなんだけど。 |
原崎 森(しげる) 1970年8月26日生まれ 山梨県出身 八丈島から屋久島へ。。。 巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。 鹿児島県・屋久島 屋久島ダイビングサービス 「森と海」 〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町 宮之浦1559-1 Tel&Fax:0997-49-1260 http://mori-umi.net/ info@mori-umi.net HARAZAKI.NET http://harazaki.net/ |