南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

やっぱテクノはダークじゃないと・・・

こちらリロアンは現在夏真っ盛り!!!

いよいよ乾期も本番を迎え連日連夜ゲキ暑状態が続いております。このシーズンになると雨が全く降らず、陸上は非常に埃っぽくってモウかなわん!?ってな感じ、しかし水中世界では透明度・透視度がバツグンに良くなり「ここはレッドシーか!?」と思うほど!?ちなみにレッドシーへ行ったことは無い。それはさて置きリロアン周辺に点在する「泥底系ポイント」においても同様で、通常濁っているイメージの強い場所が、スコーンと抜けまくり遥かかなたまで見渡せるクリアーな泥地へと変貌を遂げるのであった。

この手のポイントを代表する生き物と言えば「ハゼ」、その中でも泥地系ポイントをより一層怪しい雰囲気にしているのが「タンザクハゼの仲間たち」なのだ。リロアン周辺で見られる「タンザクハゼの仲間」の中で最も多く、且つ最も巨大で、なお且つ最も怪しげなヤツが今回登場の「ブルーバード・リボンゴビー」である。

体長約300ミリとかなり巨大だが体の厚さはわずか数ミリ、まるでペーパーナイフのようなヤツで通常単体もしくはペアで巣穴上でホバーリングしているが、今の季節は幼魚・若魚なども混ざった数匹から十数匹程度の群れなども形成する。で、巣穴に逃げ込む時は成魚のオス、次いで成魚のメス、次いで若魚、最後に幼魚といった順番でかなり“へなちょこ&根性無し”系だが、男にとっては思わず羨ましくなるようなシステムとなっている。

さてコイツ、透明度バツグンで明るい水中ではイマイチイメージが・・・。なぜなら、オレにとってのコイツのイメージは「ダークで、アバンギャルドな、一昔前のテクノバンド」な感じだからである。なぜそんなイメージなのかと言えば、基本的にコイツらは神経質なので近付きづらい、で、通常透明度が悪い、なお且つデカイ、と来れば必然的に暗い写真しか撮れない状況が多くなる。つまり、全体的に光がまわらず、彼らの体側に見られる青い横帯模様にのみストロボの光が反射し、青い模様部分だけが浮き上がったような状態、つまり昔超話題となったディズニーのCG映画「トロン」のイメージそのものになってしまうのである。

あの当時「トロン」的な雰囲気をステージ上で出そうとブラックライトを多用したり、旧マイコン、現パソコン用グリーンモニター(くう〜っ、懐かしい!)を数十台積み重ねたり、ステージのバックに陳腐なCG画像(巨大ポリゴンで出来た“顔”や、グリーンの線だけで作られた超シンプルな3Dなど)を投影したり・・・と言ったバンドは多く、その殆どがテクノ系であった。それもクラフトワークやYMOと言った一流ではなく、ゲイリー・ニューマンやウルトラヴォックス、日本ではP-modelやヒカシューなどなど・・・俗に「B○」や「○級」と言われたバンドにそれは顕著に見られた。ちなみにオレはそんなB級(あっ!言っちゃった!)バンド系も大好きである!

だから何の話なの!?と言われそうなのでまとめておこう。つまり「怪しくしか撮れないヤツ、怪しい場所にしかいないヤツ」という雰囲気があの当時のテクノバンドに通じるものがあるんじゃないのかなぁ〜!?と思っただけの話である。「怪しいヤツらは怪しくてこそ、なんぼのものである」と言うこと。んなもんだから、明るくてキレーな場所でリボンゴビーを見ると何かこう、いたたまれない気持ちになってしまうのであった・・・。「紅白歌合戦」に何の理由も無く突然出場が決まり、ステージ上で他の歌手からも、司会者からも、観客からも、全員から「誰?あの人・・・」と言われてしまっている状態に近いんじゃないのかなぁ〜って・・・。まあ、リボンゴビーからすれば(当然テクノバンド側の方々からしても)余計なお世話なんだろうけど・・・。

ところで、こんなこと考えながら魚と付き合ってるのってオレだけ・・・?ということでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

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