期間限定 スペシャルトーク | 豪海倶楽部 |
エビカニガイドブックインサイドストーリー 第2回 皆さん、こんにちは。さて、今回からいよいよ、十脚目甲殻類のコーナーを本格的に進めていきたいと思いますが、その前に少し現地のガイドダイバーとして一言! {またぁー!? という声が聞こえてきそうですが、あしからず(笑)。} 「この前、どこどこに潜りに行ったらガイドさんに○○mまで連れて行かれちゃってもう、大変でした!!」たまにというか、ちょくちょくというか、とにかく聞く話である。ここで大きな間違いがある。ガイドされる側のダイバーは、その時のダイビングスタイルで条件は変わるが、自分が行きたくない水深にガイドが誘う場合、必ずしもガイドについていく必要はなく、ケースバイケースで自分で判断し、仮に他のダイバーが下に行っても自分はドロップの崖途中や根の上に待ち、自分なりに楽しみ、その後合流する選択肢もあるという事です。また、ガイドが連れて行く以上、そのダイバーの力量をある程度見極めてから連れて行くわけですし、潜水前のブリーフィングでも、その確認は取られているはずです。どちらにしろ、おもいっきりガイド依存型ダイバーが増える中、ダイバー全体でガイドダイビングというものを再認識しなおさなければならないかもしれない。 さて、本題に戻りますが、ここ10年以上ダイバーに圧倒的人気を誇るキンチャクガニ! イソギンチャクを両ハサミに挟み、ハサミ脚を振るしぐさにとても愛嬌があり、女性陣からの人気は未だ健在です。しかし、この防衛のために使うイソギンチャクを、カニ達はどこで調達しているのでしょう? 大体、イソギンチャクを共利共生の関係で使用しているカニは、キンチャクガニ属3種中の2種(キンチャクガニ・ヒメキンチャクガニ)、ケブカキンチャクガニ属の1種(ケブカキンチャクガニ)の3種のみのようです。ケブカキンチャクガニの利用するイワホリイソギンチャクは、ガレ場の岩などに付いているのを見かけるので、その辺から調達していると思われますが、キンチャクガニやヒメキンチャクガニが利用しているカニハサミイソギンチャクは、生息場所が確認できてなく、本来浮遊性なのか、他のイソギンチャク同様、砂地や根に生息するのかは未だ謎なのです。そこで、僕が今まで確認したちょっと変わった調達方法を、今回は紹介しましょう。 1.株分けもし、片ハサミ脚にひとつだけイソギンチャクを持っている場合、それを半分にして両ハサミに持つ。これは一見、強引そうに見えますが、イソギンチャクは、カニのおかげで移動が出来、浮遊性のプランクトンを搾餌しながら成長していく訳ですから、イソギンチャクの成長を利用した農耕民族のごとき方法なのです!!・・・つい、「素晴らしい!?」・・・と、唸ってしまいます(笑)!! 思考の末か偶然かは別として、こんな緻密な方法をとって、すごく繊細(?)な奴かと思えば・・・ 2.弱い奴から奪い取れ!まんまです。少し説明すると、まず襲い掛かります。それと同時に身体を押さえ込み、そこから相手のイソギンチャクを持っているハサミ脚を固めます。格闘技でいうところの、腕ひしぎ逆十字がためです。その後、使っていない自分の第一歩脚の先っぽの尖った部分で相手がハサミ脚ではさんでいるイソギンチャクを盗ってしまうという荒技です。「うぅーん、これこそ野生!!」 などと感心してしまいます。まぁ、中には削ぎとったイソギンチャクを上手くキャッチ出来なくて、そのまま無くしてしまうおっちょこちょいも居るようです。以前、その取り損ねたイソギンチャクが指に付いたので、取ると思ってゆっくり差し出したら、取った後に、そのイソギンチャクを食べてしまうという珍事にも出くわしました。うぅーん、野生だ(笑)!! 戦い(取り合い)でフラフラ空中に浮いてしまったカニハサミイソギンチャクを指でキャッチ、それをカニへ 歩脚を伸ばそうと 指から取ろうと 口に入れようと 食べた! |
川本 剛志 1965年4月3日生まれ 福岡県出身 久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。 沖縄・久米島 DIVE ESTIVANT 〒901-3108 沖縄県島尻郡久米島町 比嘉160-69 Tel:098-985-7150 Fax:098-985-7151 www7b.biglobe.ne.jp/˜dive-estivant estivant@mrh.biglobe.ne.jp エビ・カニガイドブック(2) 川本氏へメールで申し込めば、代金先払い&送料着払いで送ってもらえるそうです。サインが欲しければこっちだね!(笑) BY 編集部 |