期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビカニガイドブックインサイドストーリー 第4回

皆さん、こんにちは。久米島では、少しずつ冬の到来を感じさせるように、水温が徐々に下がり現在25°C。ず〜と夏の28〜30°Cの水中を、潜っていた僕にとっては、この水温低下が寄る年並みのせいか異常に辛く、スタッフやゲストから低温動物?・・・との嘲りに近い虐め(?)・親父狩り(?)にあいながら、「もしかしたら、明日にもザトウクジラが来るかもしれない・・・!?」などと、たわけた事を考え日々凌ぎ、ひたすら幼魚達の成長ぶりを追いかけている毎日です。この原稿が掲載される頃には、間違いなくクジラ達が現れ始め、又新たなシーズンの到来に胸躍らせるのですが!?

さて、今回で3回目となる、イソギンチャクを防衛の為に利用するカニ達(キンチャクガニ・ヒメキンチャクガニ・ケブカキンチャクガニ)のお話は、今回で一旦区切りをつけたいと思ってます。

通常、相応の大きさのイソギンチャクを左右に1つずつ持つカニ達でも欲張りさんがいて、ちゃんと2つ持っているにもかかわらず、もう1つ欲しがるアコギなやつもいます。調達の仕方は、キンチャクガニの場合は単純明快・自分より弱いものから強引に奪いますし、ケブカキンチャクガニの場合は、ガレ場を探索してると石に付着しているイワホリイソギンチャクを見かけますから、そこから調達してると思われます。が・しか〜し、それをいったいどうするのでしょう?写真にある卵持ちのキンチャクガニの雌は、観察中、側に寄った一回り小さいキンチャクガニに腕ひしぎ逆十字を決め、片方のカニハサミイソギンチャクを奪い盗りました。左右共に立派なイソギンチャクを持っていたので、どうするかと思いきや、人間が顎と肩で物を挟む様に歩脚と歩脚の根元で挟み奪ったイソギンチャクを装備しました。別の写真にあるケブカキンチャクガニは、どのように調達したかは解りませんが、左右のハサミに立派なイワホリイソギンチャクを持っていながら、やはり歩脚と歩脚の根元の間に挟み装備してました。もっともキンチャクガニの方はその後その奪い取ったイソギンチャクを無造作に離しましたが・・・もしかしたら、僕の観察によるプレッシャーから、瞬発的に逃げられるよう身軽にしたかもしれません!?敵から襲撃される際の迎撃方法は、パンチを繰り出すように挟んだイソギンチャクを出し、見事にカウンターを決めます。うまく相手にイソギンチャクを触れさせる事が出来なければ一飲みで食べられてしまいます(8センチぐらいの魚まで迎撃してましたが、20センチのベラには食べられてました)。ここで先ほどの疑問に戻ると、歩脚の根元に挟んでいるイソギンチャクは意味をなさないのです!?非常食用・落とした時・奪われた時・とにかく不安だから沢山持ちたい・他ガニに渡すぐらいなら自分が持つ・・・・っと、色々と根拠は考えられますが、肝心要の逃げ足に影響します。最も、僕が複雑に考えてるだけで、彼らにしてみれば、「とりあえず3つ持った!」ぐらいの事かもしれません。一番機能的な左右に相応の大きさのイソギンチャクを持つカニが普通なのが、やっぱり自然の道理なのかも?

ここまで引っぱといてとても申し訳ないのですが、今現在僕にも明快な答えは解りません。マトリックス・リローデットみたいな括りになりますが、今後レボリューションが出せるようにライフワークの1つとして観察していきます。その時まで乞うご期待!!(注・誰か解ったら教えて!)  出番のなかった抱卵中のヒメキンチャクガニの写真も一緒にお楽しみ下さい!でも、あんまり可愛くないでしょコイツ!!


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部