期間限定 スペシャルトーク | 豪海倶楽部 |
エビ・カニインサイドストーリーから続く海の事色々! 第23回 皆さん、こんにちは。今回はハナダイの求愛・繁殖行動についてです。 キンギョハナダイやアカネハナゴイなど各種それぞれ類似した近い行動はありますが、ベラなどと同じようにそれぞれ個性というか違いがあるようです。今回はナガハナダイ属の仲間であるスミレナガハナダイについてのお話です。他の種については、またの機会に?! 西部太平洋から中部太平洋まで広く分布するスミレナガハナダイは、沖縄では最もポピュラーなナガハナダイ属の仲間です。雄は体中心にほぼ四角の模様がある為、「サロンパス」という愛称でダイバーの皆さんに親しまれています。雌の体色はレモンイエローですが、雄は紫色と桃色と朱色の混ざり合ったような刺激的な色合いで、金色に縁取られたグリーンアイズ、腹ビレ臀ビレの模様も繊細なタッチで美しく、いつもその美しさに魅せられてしまいます。 通常の状態でもダイバーやアクアリスト達を虜にしてやまない彼等ですが、いつも僕はガイド中に彼等の美しさを最大限演出したいと思い、出来るだけ婚姻色(雄が雌を繁殖行動に誘う為に自分をアピールする体色)を出している時を見せるようにしてます。 特に放精放卵で行われる繁殖行動時には、彼等の婚姻色もただ雌を誘う時の色彩とは違い、それ以上に色鮮やかに艶っぽくなるのです。雄が雌をその気にさせる為の求愛行動は前触れなく行われる事も多く、少しでも潮流があたっていれば求愛行動から繁殖行動に至るまでの一連の流れが観察できる可能性はあります。 求愛行動は、雄が雌の群れの付近で、30cm程の距離を横になって尾鰭をバタバタさせながら泳ぎます。いわゆるUスイムに近い感じですが、少し異なります。時に他の雄を威嚇しながらそれを繰り返し、気分が盛り上がった(?)ところで繁殖行動に入ります。10cmほど寄り添いながら斜めに泳ぎ、「クイ!」とでも聴こえてきそうな捻るような動きに合わせて放精放卵されます。その動きは、まるでワルツでも踊っているかのようで、一対の雌雄が始めると辺りの雄も参加してその根に付いてるほぼ全ての雌雄のスミレナガハナダイが参加する為、あたかも舞踏会でも催されているかのような光景が繰り広げられます。 でも、中には独占欲の強い雄もいて、他の雄に便乗される事を極度に嫌がり、その間を他の雄を追いやる事に費やし、せっかくその気になった雌へのアプローチを再度やり直している雄もいたりします。そういう時はそんな事の繰り返しで単発の放精放卵しか見られず、その根の一斉放精放卵はなかなか実現しません。 「つまらない男やの〜!?」とか「大きな男にならんかいー!!」とか叫びながら見守っている訳ですが、実はその延長のバトルには目を見張るものがあります。逃げてた雄が追いかけてくる雄に立ち向かい戦いを始め、お互いの口を噛み合い(下顎を噛み合う)クルクルと回転する様は美しく圧巻なのです。事前の情報やきっかけが解っていないとなかなか観察できない繁殖行動やこれらの行動ですが、一度見たらその美しさに見惚れる事間違いなしです。そういうポイントに行けるか、潮流はあたっているかなど自然化では条件が整わない事もありますが、皆さん、ぜひ、久米島に見に来てください!! 雌を繁殖行動に誘う為に、雄が体色を変化させ婚姻色を出す。 ある雄が、求愛行動を始める前に、辺りの特定の雄に威嚇し、しつこいくらいに戦いを 挑む場面が見られる事がある。「何故、その雄なのか?!」判断の基準は定かではないが、 物凄くその特定の雄を嫌っているようで、辺りの他の雄には危害を加えようとしない。 分散してたその辺りの雌雄が一斉に集まり、それぞれ入り乱れながらペアーになっては、放精放卵を繰り 返す。いつもより派手な婚姻色を出しながら繁殖行動繰り返すその様子は、まるで舞踏会のようです。 |
川本 剛志 1965年4月3日生まれ 福岡県出身 ガイド会所属 久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。 沖縄・久米島 DIVE ESTIVANT 〒901-3108 沖縄県島尻郡久米島町 比嘉160-69 Tel:098-985-7150 Fax:098-985-7151 www7b.biglobe.ne.jp/˜dive-estivant estivant@mrh.biglobe.ne.jp エビ・カニガイドブック(2) 川本剛志写真集 球美の海 川本氏へメールで申し込めば、代金先払い&送料着払いで送ってもらえるそうです。サインが欲しければこっちだね!(笑) BY 編集部 |