期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビ・カニインサイドストーリーから続く海の事色々! 第43回

ゴマモンガラです。環境省の「女性ダイバーに嫌われる魚アンケート」で3年連続トップに立っている魚なのです・・・・そんな調査はないけど!!ともかく、それくらい女性に嫌われている奴なのです。「顔が不細工」、「目が怖い」、「襲われそう」、「皮が厚そう」、「何か近く寄ったら加齢臭がしそうだし、エッチも変態そう」・・・・・・・、そんな事はないと思うのだが、理由は挙げるときりがないくらいの嫌われようなのです。でも、やはり一番の理由は、夏の繁殖時に卵を守っている時の攻撃的なところでしょう。

水深5m〜25m辺りの砂地の入った棚で、薄いピンク色の卵を守っている時の奴の動きは、突発的攻撃性でヒヤヒヤさせられます。ゴマモンガラ達にもそれぞれ個性があって、産卵場の半径5m以内に入ろうものなら、後先考えずに即突っ込んでくるやつ。突っ込む素振りは見せるが、こちらが身構えている時には何も仕掛けて来ない。でも、逃げる相手にはとことん強いチンピラみたいなやつ。気が弱いのか、産卵場の50cm近くに寄るとようやく突っ込んでくる素振りだけをみせるやつ、それぞれなのです。画像にある造礁サンゴが作り上げた石灰層で出来た棚を、餌を探す為に強烈な歯で噛み砕く様はまさに圧巻ですが、その歯で水中マスクやウエットスーツ、手や足や頭に傷を負わされたダイバーも少なくはないでしょう。

でも、いつも恐れる必要はありません。ゴマモンガラが襲って来るのは卵を守っている時だけですし、卵を守っている時は、画像のような行動はなく、卵の側を離れませんから動きで解ります。確認しづらい棚上の窪んだ場所を産卵場にいている事も多いので、そういう所は少し上を泳いでいれば、見えますし、仮に、知らずに側に寄ってしまったとしても、彼らの攻撃は直線的ですから、カウンターを合わせて右フックで撃退できます・・・・・かわいそうだし、失敗すると痛い目にあうからお勧めできませんけど??

まあ、そんな事を言ってる僕ですが、過去には奴に後ろからの攻撃で頭に傷を負った事もありました。それから、奴ともさんざん色々とやり合いましたが、卵を守っている時以外は本当におとなしい奴なのです。棘があってそのままでは食べられないオニヒトデを石で砕いて内臓を出したもので餌付け出来るし、そのオニヒトデを掴んだピンセットを右に左に振舞わすとイルカのショーみたいに反応してくれる素直な(?)奴だし、でも、意外とせこくて、食べに集まって来たベラやヤッコチョウチョウウオに食べられたくない為に、砕いたオニヒトデを銜(くわ)えて人気のない魚気のないところでこっそり食べようしたり、僕がそれを掴んで、また元の場所に戻そうとすると、一心不乱に付いて来て、また独り占めしようとする愉快な奴なのです(笑)。そんな奴らですから、次回からは、よ〜く見つめてあげて下さい。きっと、奴らのユニークな一面が見えてくるはずですから!!


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

ガイド会所属

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部