ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

八丈島から初めまして

一年ちかく前に、雄輔さんに遊びに来て頂いたのがご縁で、このコーナーにお邪魔させて頂くことになりました。毎月1回続けられるのか、今からちょっと不安。とりあえず、今回はご挨拶代わりに八丈のご紹介という感じ・・・。

これから末永く(?)宜しくお願いします。

さて、八丈島の一番の人気ポイントと言えばナズマド。エントリー口には、ダイバーだけでなく、磯釣りを楽しむ人達や、亀の手などのお味噌汁の具を採りに来た島の人達が集います。海を挟んで、ちょうど正面には八丈小島。

八丈に来る以前、よく遊んでいた東伊豆の海洋公園でも、天気の良い日はエントリー口から大島が見えました。エントリーロープに握り、少しずつ水中へ消えていくダイバー達がいるこの風景は、何となく似ているような気がします。そう言えば、海の中の地形も「馬の背」、「三角根」、「二の根」など、海洋公園と同じ名前の場所がいくつかあり、八丈に来たばかりの頃は、どこの話をしているのかわからず混乱することがありました。

このナズマドの人気の理由、それはビーチポイントとは思えない地形のダイナミックさ、透明度の良さ、魚影の濃さ。時にはどんでもない潮流で、スリリングな思いをさせられる事もありますが、これも潜り方次第で楽しみに変わることもあるのです。

そして、フィッシュウォッチャーに嬉しいのが、魚種の多さと個体数の多さ。いろんな種類のサカナ達がたくさん見られるので、その生活ぶりを観察するのも、季節を通していろんなのが手軽に楽しめます。サカナの産卵を見るのだって、別に、長時間同じ場所にじーっと我慢して粘る必要も無く、気がつけばあっちでも、こっちでも・・・って感じ。独り身の自分がちょっと寂しくなるくらい、海の中はお盛んなのです。

写真は、最近撮ったアカハラヤッコの求愛シーン。

オスが、メスのお腹をチョンチョンっと突っついているところ。これが産卵・放精前の最後の儀式。ここに至るまで、ちょっとした恋の駆け引きがあり、見ている私たちをヤキモキさせるのです。まるで人間と同じように、失恋、三角関係、嫉妬・・・、サカナにそんなもんあんのか?と思うような男女の思惑がにじみ出ていて、ちょっとした恋愛ドラマを見てるみたいです。この最後に儀式を終えると、2匹はお腹を合わせてフィニッシュ。ちょっと白いものがフワッと見えます。皆で「わーい!」って拍手したりして。出産おめでとーって感じです。

これって、見てる対象が魚類だから良いんですよね・・・。時々、ふと我に帰り、こんなもの見て喜んでる私って変態?? と顔を赤らめたりしています。

あら? 八丈の紹介文が、変態ダイバー向けになっちゃったかしら。我ながら先が思いやられるなあ。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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