八丈の名産って？？　と聞かれると答えに詰まります。
すぐに思いつくのは「くさや」と「明日葉」。
それ以外は…？　と言うと、焼酎、海苔、島唐辛子くらいか。
たいして何も無いんですね、と言われます。

自分自身の話をすれば、三宅島へ行った時のこと。船に乗る前に港の近くにあるお土産を買いに出かけました。行ってみて、絶句。く…くさい…。 私は出身が関西と言うこともあって、臭いのきつい発酵食品は全て苦手。納豆やブルーチーズはもちろん、くさやいっぱいのお店になんて入ることもできません。何か臭くないお土産はないのか…と探したのですが、その時は見つからず、お土産は無し！ということに。旅の最後に、ちょっと盛り下がってしまいました。

「くさや」と「明日葉」。

どちらも臭いが強く、好き嫌いが分かれる食べ物です。八丈の名産！と打ち出すのに、もっと一般受けするものはないんでしょうか。焼酎や海苔はありふれてるし、島唐辛子も辛いのがダメな人にはダメだし、そんなにたくさん食べられるものじゃないし。
ま、島が小さいし、土質も良くないだろうから、しょうがないのかな…と思っていました。

ところが！

島の人たちは、島の人たちだけで美味しいものを食べていたのです。
どうせ出荷しても売れないだろうと思っているのでしょうか？　農協の直販などを見に行くと、いまだに見たことの無い野菜に出会います。お馴染みの野菜も、八丈産のものはちょっと違います。例えば、とてつもなく大きいのです。

その一つが、おくら。

皆さんの想像するおくらって、長さ何センチくらい？？
太さはどれくらい？？

普通、長さが10センチ前後で、太さはせいぜい1センチ弱くらいじゃないでしょうか。八丈産のおくらは、島では「ねり」と呼ばれて、夏の間島内のスーパーに出回ります。出始めの頃は目が飛び出る程高値ですが、最後には半値以下に下がります。長さは15センチ以上、太さも1．5センチはあります。

刻んでおかかをまぶしても良いけど、丸ごと茹でてマヨネーズつけて食べても美味しいし、天ぷらも絶品です。4〜5本食べたら、お腹いっぱい。

近所には、このおくら畑があちこちにあります。
今では、ほぼ収穫が終わり、下の方の実と、なぜか葉も刈り取られて丸坊主。真っ直ぐ高く伸びて、その先っぽにだけおくらが数本残っています。 あの一番上に付いているおくらには手が届かないなあ。

昔読んだ「ジャックと豆の木」を思い出しません？

まるで天まで昇りたいみたい。
まだ夕方ではないのに、前の道路には長い影。

その縞模様の間で、ショウジョウバッタが遊んでました。