「八丈島のキョン」と聞いて「あっ…」と思い当たった人は、もうそんなに若くないはずだ。私と同じくらいの年代のダイバーや観光客からは「キョンって、どこに行ったら見られるんですか？」と、よく聞かれる。そういう人達の中には、キョンというのは、イリオモテヤマネコが西表島に生息する固有の野生動物であるのと同じように、八丈島でしか見られない天然記念物か何かだと信じている人が少なくない。

一方、20歳前後の人達に「キョンって知ってる？」と尋ねると、大抵「なにそれ？」という顔をされる。

もう、わかっている人にはわかっている通り、「八丈島のキョン」という言葉を知っている人達は「がきデカ」という漫画を読んで育った世代だ。ネットで調べると1974年から1981年の間に週刊マンガ雑誌に連載されていたらしい。今振り返ると、どうしてあの漫画があんなに流行ったのかよくわからないけど、子供達がみんなして「八丈島のきょん！」とか「死刑！！」とか意味不明のまま叫んで、主人公の「こまわりくん」のポーズを一生懸命真似していた。そのうち、いつの間にか「八丈島にキョンがいるんだ…」と思う人が増えてしまった。単なる流行語で、そもそも「キョン」が何かを知らない人も多いと思う。

キョンとは？？

キョンは鹿の仲間で、元々は中国や台湾に生息し、日本にはいない動物でした。それが動物園で飼育するために持ち込まれたのだそうです。八丈島には動物園はありません。ところが、たった3種類だけ植物公園の中で飼育されている動物がいるのです。その1つがキョン。この3種類が、どういう基準で選ばれて八丈島で飼育されているのかは、よく知りません。でも少なくともこのキョンは、きっと「八丈島に行ったらキョンを見に行かなくちゃ」と、それが勘違いだと知らずにやってきた観光客の期待に応えるために飼われているのではないかと思います。

オスには小さな角が生えています。
大きさは大型犬くらいでしょうか。

メスは優しい顔立ちをしています。木の葉や果物が好物のようです。

キョンが飼育されている檻の前には、キョンについての説明が書かれた看板が立っています。残念ながら（？）「がきデカ」との関連性については何も記載されていません。

下ネタ満載の少年漫画の主人公が、何を思って「八丈島のキョン！」と叫んでいたのかは全然わかりませんが、キョンはとても人懐こくて可愛い鹿です。

キョンを知らなかったあなたも、会いに来てみたくなりましたか？

え？？　「がきデカ」を読んでみたくなった？？？
あ…　そうなんだ。。。