ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第七話 早期決着

全国各地に羽衣伝説は点在します。しかし、何故ゆえ「三保の松原」の羽衣伝説が、最も知れ渡ったのでしょうか? それは、先月号に記載しております伯梁の執着したモノにその原因があるのです。人でなく物に執着したところが、功を奏した?のです。もちろん、伯梁に後世の支持を得るための策略があった訳ではありません(笑)。

再度、考えてみて下さい、絶世の美女を帰さんがために羽衣を渡さなかった男と、羽衣の美しさや香りに魅了され、それを所有したいがために結果として天女を引留めてしまった男の違いを。人間の身勝手さの矛先を人に向けるか?物に向けるか? この争点の見解が、伯梁を伝説の人へ、ひいては「三保の松原」を全国一の羽衣伝説の地へと導いたのです。

天女からのバーターで「天女の舞」と引き換えに、早期決着をしてしまった伯梁の行いが潔く見えたのでしょうか? ここだけの話しですが、実は天女が地上へ降り立つ時は「宇宙の男に、飽きたところよ!あん!」と思ったかどうかは知りませんが、下界の男とのラブロマンスに心をトキめかせながら、降りてくるんです。ところが、よりによって絶世の美女を目の前に、まさか羽衣の方に気をとられてしまうとは...。天女のプライドはズタズタです(涙)。未だかつて、こんな屈辱を受けたことは無かったのでしょう。こんなアンポンタンとは、一刻も早く決別したい...。そう思って天女が口にした言葉が「天女の舞」でした。

「踊るには、その羽衣がなければなりませぬ」しっかと胸に羽衣を抱きしめながら、疑わしき目で伯梁が天女をうかがいます。「え!?なに?わたしがウソを?人を騙すと言うのは下賤の者の話しです、まさか天女がウソをつくとでも?」屈辱を受けて語気の強くなった天女にビビったのか?伯梁はシブシブながら羽衣を渡しました。手から離れる瞬間、天女の冷ややかな微笑みが印象的だったことでしょう。「やっ、やられたぁ!?」舞も漫ろに天高く消えてゆく羽衣を名残惜しそうに、いつまでも見つめるのでありました。羽衣を...。何か,哀れに思えてしまうのは...僕のデジカメのメディアが一杯だからでしょうかぁ?

今回は、ニューマシンを手にして初テストに臨みました。画像は、生まれたてのハオコゼの子供です。デジカメ特有の被写界深度がうかがえます。


ハオコゼ 1.2cm

鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

ダイバーズ・プロ
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Tel:0543-34-0988

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