シリーズ第5弾「毒」
シリーズ第5弾は、自分が研究として取り組んでいる「フグ毒」(テトロドトキシン以後TTX)に関して書いてみました。かれこれ6年ほど前から、東海大学海洋学部斎藤研究室のお手伝いをしながら感じた事、見た事実、実証できた事、考察を交えながら伝えられたら面白いな?と思い、執筆を開始します。お楽しみに。
第一話 フグもTTXで死にます(前編)
センセーショナルな切り口で始めたかったので、ありえないところから入ってみました。本来、この表題に至るまでには、もっと必要な事例やデータを提示して、ある程度の理解を得られてからでなければいけないのだと思いますが、学術論文を書く訳ではありませんので、スタートは「毒を以て毒を制す」ではなく「毒を持っているのに毒で制されちゃう」です。その前に、TTXと表記する理由は述べておきます。フグから見つかった「毒」なので、フグ毒と呼ばれるようになった訳ですが、よくよく生物界を見渡してみると、フグでもないのにこのTTXを持っている生物が結構います。ダイバーに馴染みのあるところでは、ヒョウモンダコやツムギハゼ、スベスベマンジュウガニが挙げられます。陸上の生物でもカエルやイモリなどからも見つかっています。つまりフグ以外の生物からも、この毒が見つかったことから、フグ固有の毒ではないということで、最近はあまりフグ毒と呼ばれなくなってきました。もちろん、呼び易さや慣れからフグ毒は、呼称として多用されますので、使っていけない訳ではありませんよ。さて、お題目の話しですが「致死量」という言葉を聞いた事がありますか?そうです、死に至る量と、読んで字の如く、ある許容量を超える事で、症状が現れ、手当が遅れれば、生物学的な死を迎えることです。と、前フリはこの辺で、次号の後編に続けたいと思います。
画像は、研究で潜っている時に遭遇したコモンフグです。フグの種類によって、TTXの蓄積部位の違いや毒量の変化があり、何故そのような違いが生じるのか?あまり分かっていません。
鉄 多加志
1965年生まれ
清水出身
ガイド会所属
生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。
通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保
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〒424-0902
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