ガイドのつぶやき - 静岡・三保からThe Diving Junky Magazine

第四話 索餌行動の考察と謎解き(後編)

話しを元に戻して、ならば保有毒は防御毒としての効果は、あまり期待出来ないという結論に達します。

であれば、フグ毒は何の為に作られているのでしょうか?さぁ難しくなってきました。誰か、この謎を解いてみて下さい。それが分かれば、苦労はしませんね?僕の考察では、毒性にとらわれ過ぎて、もっと大切な事を見過ごしているように思います。多分、鍵やヒントは「毒は結果論」に過ぎないと言うところにあるのだと思います。

つまり、殺傷能力としての働きは重要ではなく、フグが生きてゆく上での、それ以上の重要な働きをTTXが担っているのだと考えます。あくまでも「毒」が必要だったのではなく、必要だった物質がたまたま毒だった、のではないでしょうか?

「死んでしマウ(ッス)!」と言うエキセントリックな事象は、TTXの重要な働きを隠蔽するための、ある種のレトリックなのだと思います。

ちなみに、ここはフグ毒の研究者には笑ってもらえる部分なんですが?(え!?それでも笑えない...)

ちなみに、今更ですが、毒量を示す単位はマウス・ユニット(MU)で表示されます。平たく言えば、その注射した毒で、ねずみが何匹お亡くなりになったか?という事です。

最近は、動物愛護の観点から、あまりこの方法を大っぴらにしなくなりましたが、MUと言う単位は、ネズミ様の屍の上に成り立っているものであり、機械的に検知・表記される数値は、いわゆるMU相当ということになります。

人は、個人差が大きくTTXの純品1〜2mgで5000〜10000MUが致死量とされています。つまり、この量のTTXが含まれている量の部位を食べれば人一人がお亡くなりになりますので、ある意味1HU(ヒューマンユニット)になる訳ですが、そうならないための研究をしているので、早くこの謎解きと医学的な転用を促進してゆかなければなりません。

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鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身
ガイド会所属

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」

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