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謎のヤッコ

最近、気になっているヤッコがいます。

写真のような体色で、ルリヤッコとナメラヤッコをかけ合わせたような雰囲気。ジャーマンチャネルの左右両方のブイの下でそれぞれ確認できますが、特にゲメリス島側のブイ下のガレ場が多いようです。個体数は多く単独でもいますが、ペアで行動していることが多いです。

もともと5年前ほどだったか、ウーロンチャネルというポイントで同じようなヤッコが目撃されていました。当時は突発的なハイブリッドではないかとガイド仲間で話していたのを記憶しています。ところが近年、このジャーマンチャネルでは突発的にしては多すぎる数のこの「謎のヤッコ」が目に付くようになりました。個体数があるので突発的とは言えないなどと話していたら、パラオの分類学の申し子、サザンマリンダイバースの坂上治郎氏が早速採取してDNA鑑定をしたそうです。

以下、治郎さんに聞いた内容ですが、採集した個体の母系遺伝を確認するため、ミトコンドリアDNA鑑定をした結果、ルリヤッコのDNA形質が出てきたそうです。この段階だとお母さんはルリヤッコで確定(お母さんルリヤッコの卵だった)だけど、お父さんが誰だか分からないのだそうです。困っちゃったなぁ。

こうなってくると、お父さんは本当にナメラヤッコなのか?という疑問が残ります。亜種と疑うこともできるが、本来亜種という定義は種の下位にあたるもので、魚の場合、遠く離れた地域に生息するする同種に用いられていることが多い。と同じ海域に生息するこの種は亜種ということ片付けきれないらしい。仮に亜種だとしたら、この種の生息する環境には純粋なルリヤッコもナメラヤッコも存在するわけで、ナメラヤッコやルリヤッコとペアリングしても良さそうなものだがそういう行動は一切見ない。亜種であるならこの種のみでペアリングをする説明がつかない。

と言うわけで、今後この種のお父さんは誰なのか?そして本当にただの亜種なのか?を、これから調べていくことになっているそうです。

この「謎のヤッコ」達のお父さん探しはまだまだ始まったばっかりなのでした。誰か、この子のお父さん知っている人はいませんか?


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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