ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(26)

[たまにはカメラを置いて。。。]

基本的に魚を見分けるとき、体色は参考にならない。

なぜなら、ヘビギンポに限らず、あらゆる魚はその時々の状況や環境で、その体色がコロコロ変わるからだ。オスが求愛している時やケンカしている時に示す体色である「婚姻色(興奮色)」と呼ばれるものは派手でとても分かりやすいから良いのだが、これが褪めかけた状態だったり、環境に合わせて微妙に体色を変えたりしている場合、1枚の写真から種類を特定するのはかなり難しい。

これがヘビギンポの分類を難しくしている原因のひとつだったりする。

一番良いのは、しばらくそのヘビギンポにはり付いて、1枚だけでなくあらゆる状況に応じて、いろいろな角度から何枚も写真を撮っておく事や、現場の状況を俯瞰で見て全体像も撮っておく事だ。

その時にそのヘビギンポだけでなく、周りにいる他のヘビギンポたちも写っているとなお良い。体色変化の様子も撮れたら更に同定しやすい。

って言ってもなかなか難しいよね。。。

撮る事に一生懸命になってしまって、観察にまでは気がまわらないのが普通だろうから。(笑)

一度、カメラを置いてじっくり観察するのもなかなか楽しいかもよ。。。♪

【縞ヘビ(ヘビギンポ属の一種6)】

前回、紹介したクレナイヘビギンポを国立科学博物館の「魚類写真資料データベース」で検索すると、11件ぐらい出てくる。

前回、雪岡さんから提供して頂いた写真も登録されており、他に同じような色彩のヘビギンポも2-3件見られるのだが、残りは単純に体色や模様で見ると別の種類に見えてしまう程、体色は違う。

例えばこれ。


状態不明 / 沖縄本島

この子は僕の主宰するヘビベース!では、通称「縞ヘビ」と呼んでいるのだが、この色彩のヘビギンポも魚類写真資料データベースではクレナイヘビギンポとして登録されている。

体の模様が違うからと言って即別種だとはさすがに言わないけど、確かに縞模様の基本パターンは一緒だし、環境や状況で体色が変わるものなのかも知れない。

しかし「ヘビベース!」に送られてくる写真は、ほぼすべてがこの体色の子ばかりで、前回クレナイヘビギンポ紹として紹介したような体色パターンの子は、その後まったく送られてこない。。。

上記の子がちょっと体色が濃くなっても、せいぜいこんなものだ。


状態不明 / 沖縄本島

いずれにしても僕は写真だけを見て語っているわけで(笑)、自分で調べているわけではないので、悔しいけど何とも言えない。

屋久島にこのヘビギンポがいれば、環境や状況で体色が変わる様を観察して、自分なりの答えを導き出すのだが、今のところそれも叶わず。。。
う〜!!!歯がゆい!!

潜水案内 -okinawa- 津波古 健 氏

参考:ヘビベース! - Triple-Fins Photo DataBase


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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