期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビ・カニインサイドストーリーから続く海の事色々! 第19回

こんにちは、春の心地良い風の中で少しずつ夏を感じつつあるここ久米島からです。黒潮が入り、海中でもギラギラ光る回遊魚達が精悍に泳ぎ、根付きの生物達も華やいで、夏の到来を心待ちにしているかのような光景があちらこちらで観られる毎日です。

さて、今回の写真はギンガメアジの群れがイソマグロの襲来に逃げ惑う様子です。ゆっくりとした動きのイソマグロが、その体色を横縞模様に変えると、体中のエネルギーを一挙に放出するかのようにスピードを加速させ、ギンガメアジの群れに襲い掛かるのです。

時にダイバーの存在などないかのように群れるギンガメアジ達は、ある時には壁になり、またある時には渦を巻き、私達に幻想的な映像を見せてくれるのですが、2m近いイソマグロの襲来により、それまでの落ち着いた光景とは一変し、弾丸のような速さであちらこちらと群れが動きまわります。

逃げ惑うギンガメアジの群れは、そのコースに入ってしまった我々ダイバーの存在などものともせずに突っ込んで来ては、イソマグロから逃げて行きます。その瞬間は、ギンガメアジ達が同じ空間を共有するダイバーやイソマグロや他の生物達の中で、今、自分達が最も恐れなければならない捕食者が誰なのかをはっきりと認識している姿をまざまざと見せつけられる瞬間なのです。その時の彼らにとっては、地球上で豊かな繁栄を謳歌している人類などまったく眼中にないのです。所詮、私達は束の間の訪問者であり、その空間の永遠の居住者でないと再認識させられる瞬間が、きっと今日も日常的にいたる所で営まれていることでしょう。

私達ダイバーはスクーバという素晴らしい道具を使用する事で、普段見る事の出来ない贅沢なライブを堪能出来る喜びの意味を、もう一度見つめ直さなければいけないのかもしれません。いつも、謙虚で在れるように。


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

ガイド会所属

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部