ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

見つめ合って

今日の一日を振り返って、皆さんは人間以外の動物といくつの出会いをしたでしょうか?
私は、必ず会うのがお店で飼っている犬と猫。他に、キジバト、ウミネコ、イタチ、ヤギ、ヤモリなどをよく見かけます、都会に暮している皆さんは、もっと少ないのではないでしょうか?
その中で、あなたと目が合った動物と尋ねたら…?
ペットを飼っている人でなければ 0 かも知れませんね。

口をきけない動物が相手でも、目が合うとちょっと話をした気になりませんか?
なんとなく一瞬心が通じ合ったような。

海へ入ると、そんな機会がぐんと増えるように思います。
本当はほとんどが警戒しているためなのが、たくさんの魚たちが、ちらちらと私のことを見ています。それが写真を撮る時には、真剣な見つめ合いになります。こちらは目にピントを合わせようとして見ているのですが、その間、ファインダー越しに声が聞こえてきます。

「何だよ邪魔だなあ。腹減ってんのに、出かけられないじゃないか」
「あら、その怒った顔もステキよ」

「ちぇっ、せっかく今メスと良い感じになってたのにぃ」
「あ、そのまま、そのまま。婚姻色のままでいて!」

私にとっては、この自分勝手なコミュニケーションが写真を撮る楽しみの1つなので、ダイバーの人気種でありながら、あまり撮らない生き物があります。

それは、「ウミウシ」。

確かに色・形は美しくて、いろんな種類の「ウミウシ」を撮り集めるのは楽しそうだなと思うのですが、写真を撮っている最中の気分が今イチ盛り上がってこないのです。触覚を目に見立てようとしても、何となく気持ちが伝わってこないのです。
でも、「ウミウシ」の中にも「目」のある種類がいるんですよ。

例えばベニシボリやコンシボリ。
心を通わせるにはあまりにも小さくて、「目」と言うより「点」ですが…。
「目があるウミウシ」ではなく、「貝殻を持つウミウシ」として有名です。

ところで、「ウミウシ」と「貝」、何が違うんでしょ?
ちょっと詳しい人なら知っていると思いますが、私たちに馴染みのあるサザエなどの巻貝と比べると、鰓の付いている場所が違います。鰓の付いている場所が、「貝」だったら心臓より前方、「ウミウシ」だったら心臓より後方なんですって。
それって、どうでも良いことのように感じているのって、私だけ??
だって「これってどっち?」って思うようなのも、いっぱいいます。

最近、ある泥質帯に大発生した謎の「ウミウシ」です。最初は「貝」かと思いました。
まるで犬みたいな可愛い「耳」のようなものが付いているんですが、「目」がないんですよね。他のカットでは、かすかに「目」のような点が写っている写真もあるのですが、肉眼では気が付きませんでした。

逆に、「貝」にはちゃんとした「目玉」があるのは知ってました?
「貝」そのものは地味なものでも、目がきょろきょろんとして、可愛いです。
もし私が勝手に分類しても良いんだったら、見つめ合えるかどうかで分けてみたいなあ。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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