ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

同性愛疑惑

ありがたいことに、ここのところ水温が安定して22〜23度をキープしています。ほんの少しの違いで、魚たちが元気になって現れ始めるのが嬉しいです。寒い間、一体どこへ行ってたんでしょう? 死んじゃったのかな?と思っていた成魚が、突然元の場所でブンブン泳ぎ回っています。

ある場所にトモシビイトヒキベラのハーレムがありました。数年前に急に幼魚が増えたことがあり、その中の何匹かが生き残ってハーレムを形成したのです。しかし、その後トモシビは数を減らす一方で、オスとメスを合わせてもほんの数匹だけになりました。それでもオスが美しいヒレを広げてメスに求愛する様子が見られたので、すいぶんと通ったものです。

それがまた帰ってきました。
しかも、パワーアップしていました。
最初、何か別の魚かと思ったくらい。
昨年まで見られていたトモシビのオスよりも数段大きく、色もすっかり変わってしまいました。

大きいと目立ちますし、迫力があるんですよね。
私が見に行った時にも、まるで羽ばたく鳥のように、魚の群れの頂点を泳いでいました。

ところが…
普通その魚の群れをよく見るとトモシビのメスが混じってるはずなんですが。

いないんですが…
あの〜。どなたに求愛していらっしゃるんでしょうか?

いました、いました。
もう1匹のトモシビ。
あれ? あなたは、オスじゃありませんでしたっけ?

そうそう、去年までメスに求愛していたオスは、こんな色合いでした。でも、さっきのがオスだったら、これがメス? いや、トモシビのメスはもっと地味なはず。それとも、それは勘違い? 私が今までオスだと思っていたのは、実は全部メスだったのかしらっ!? メスだと思っていたのは、全部幼魚? たくさんの「?」マークが渦巻く中、海から帰って図鑑で調べてみたら、やっぱりどちらもオスでした。

そして、その後も、この場所へ何度か通い、今では確信しています。この二人は、二人とも男だけど、愛し合ってるんです!!
絶対。
二人は、一緒に暮らしてるんだもん。

きっと、仲間たちの数が減っていく中で、うっかりオスだけが生き残ってしまい、本来なら縄張り争いとかするところなんだけど、共に生きていこうって決心したんですよ。きっと。

私は、これからもこの二人の愛を見守っていこうと思います。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

レグルスダイビング

〒100-1511
東京都八丈島八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539

http://www.edit.ne.jp/˜regulus

レグルス