潜るコピーライターのアンダーウオーターズポエム | 豪海倶楽部 |
星の王子、グロットを飛ぶ! 「今夜は月がお休みだから、上がる頃には真っ暗だぞ〜」と、ガイドさんが言う。今日はグロットでナイトダイビングだ、ここサイパンは私のログのほとんどを占めている。トワイライト・エントリーはナイトが久しぶりでも安心感がある。入念に打ち合わせ、確認をしてからエントリー。リラックスして入る夕方の海、とろんと溶けたお日様が心のなかにしみこんでくる。Royal teaはいつもこんな気分なのだろうか?はち蜜が螺旋を描いて広がるように、ごくゆっくりとしんしんと、辺りは夜になってゆく。 ひらりろり〜ん、眠たい顔のカメさん発見!いつにもまして泳ぎがスロー、ちょっとだけ、ちょこっとだけ頭をなでなでしてもいい?よね?ダメ?そっか、ごめんごめん。そろそろ顔なじみの魚達はお眠の時間だ。あれあれ、鼻ちょうちん出して眠ってる子がいるよ、へぇーこんな顔してたんだぁ、おもしろいね夜の海、普段見えない景色を感じる。すぅー・こぷこぷ、すぅー・こぷこぷ、呼吸の音もいつもと違う響き、しっかり意識してないと引き込まれていきそうだ。。すぅー・こぷこぷこぷぅ・・・ん?コンとちっちゃく合図がひとつ、あ・いたいた“シマクダリボウズリスモドキ”、「リスには似てないけどなぁ?じゃぁシマクダリボウズか?なんやそれ?ありえへん」などと自己つっこみをしながらも楽しくダイビングは進行してゆく。 この場を借りて言ってしまおう・・、私は魚の名前にうとい、まったくトンチンカンにちかい。好きだけど、友達を苗字で呼ぶのは他人行儀な気がして勝手にいろんなあだ名を付けてしまっている。例えば“紫くちびるの黄色い子“や”珊瑚の上のキョトキョト君“、”南洋ワカメちゃん“、”おはぎ“、”ミルキィ“、更には”オカキの子“までいる、友達に対しては充分失礼なあだ名かもしれない・・・・。しかもそれぞれに台詞まであったりする、重ねて例えれば、ニシキベラは本名を覚えているのにも関わらず”キャプー“というあだ名でしか呼べない、何故なら彼が両手(ひれ)を交互にバタバタさせて突進してくる姿は、太めの坊やが「キャプー!腹へったー!母ちゃんご飯〜」と言いながらジタバタ走って来るようにしか見えないからだ。でも私は変人ではない(つもり)、私以外にも隠れ印象派?は多いはずだ、「ねぇ、野菜珊瑚の中あの子・・」「あ〜、あのお饅頭みたいな子でしょ?」「そうそう!あの子は絶対に和風だよね」なんて会話が立派に成立するのだから・・。 グロットの内洋に戻ればエキジットは近い。泡ん子達をライトアップして遊んでいる私の視界にガイドさんのスレート文字が認識される。 「さぁ、全員ライトを消しましょう!」 な・なんやてー? ダイビング時の心臓バクバクを、ワクワクに移行させる技の成功率は精神のかなり微妙なさじ加減によって左右されるのだが、多くの場合はガイドさんに寄せる信頼感が絶大にものを言う。この相性、ひとめ会ったその時にぷわっ!と花咲くこともあるが、1本ずつにお互いが丹精こめて水をあげ、100本目におっきな実を結ぶこともある。さて、このことは置き。厳かにライトを消して待つ私達に、誰かがイタズラっぽく笑いかけた気がした。 水が動いた? うわぁぁ(・。・)星! ほぅ。。。感動を胸一杯にエキジット。 月のいない夜を待ちわびて、自己主張する星達の宴。どの銀河家も大にぎわいで、やんやかぴかぴか煌き大会。ここぞとばかり星チビ達は探偵団の大仕事、ママに内緒で空から零れ、海にかくれた星の王子をこっそりさがしに来てたんだ。 その昔「夜空はなぜ暗い?」と残して逝った天文学者のことを、ふと思い出した。私には難しいことはわからないが、彼のオルバースさんは矛盾に悩んでおったそうだ。宇宙一杯にある星の、輝きの数を計算すれば太陽の光よりも明るいはずだ、なのにどうして昼間より夜の方が暗いのだろう?不思議じゃ、、、、と。だけど今夜の空は暗いからこそ輝いていた。理屈なんかはなくてもいい、感動だけで充分幸せ。 ガイドさんもホッと一息、星達が描いた絵を見上げてる・・。大空の逆さ柄杓を背景に、腕組みをするシルエット・・、あれ? |
JUN-P(仲 純子) 大阪在住ファンダイバー 職業:コピーライターとか 1994年サイパンでOWのライセンスを取得。 宝物はログブック。頁を開くたび、虹のような光線がでるくらいにキラキラがつまっています。 海に潜って感じたこと、海で出会った人達からもらった想いを、自分のなりの色や言葉で表現して、みんなにも伝えたいなぁ。。。と思っていました。そんな時、友人の紹介で雄輔さんと出会い、豪海倶楽部に参加させていただくことになりました。縁というのは不思議な綾で、ウニャウニャとやっぱりどこかで繋がっているんだなぁ・・って感動しています。どの頁がたった一枚欠けても、今の私じゃないし、まだもっと見えてない糸もあるかもしれない。いままでは、ログブックの中にしまっていたこと・・少しずつだけど、みなさんと共有してゆきたいです。そして新しい頁を、一緒につくってゆけたら嬉しいです。 |