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タピオカ

南の島の代表的な食べ物の1つに、タピオカ(キャッサバ)がある。淡白な食べ物が多い南の島にあって、数少ない味のある美味しい食べ物だ。従ってクリスマスや年末年始のご馳走の中では欠かせないものの1つとなっている。

形状は、サツマイモの大きくて長い物と思って頂ければよい。同じ地下茎ではあるが、蔓(つる)状のサツマイモとは違って、木の根に芋が出来る。ここチューク地方では、山の斜面や、ちょっとした平地を耕しては、いたるところに栽培されている。挿し木で簡単に栽培でき、6〜8ヶ月で大きな芋が収穫できる。芋の分厚い皮を剥くと、真っ白な艶のある中身が現れる。タピオカ芋には良質の澱粉が多量に含まれており、素人にも簡単に抽出できる。

そして、このタピオカ澱粉は、ケーキやお餅などデザートの材料として重宝されている。日本でタピオカと言えば、オタマジャクシ状の粒々の食べ物であるが、これは、このタピオカ澱粉を2次的に加工した食べ物である。

現地におけるタピオカの調理方法は、芋の処方により幾つかに分けられる。最も簡単なものは、芋の状態のまま煮て食べる食べ方である。タピオカの芋はとても硬くて、この方法だととても時間がかかるのと、胃に負担がかかるため、現地人の間でもあまり一般的ではない。

最もポピュラーな調理方法は、芋をおろし金ですりおろし、ココナツミルクや砂糖、練乳などをミックスして蒸すやり方である。この調理方法だと、タピオカに含まれる澱粉が上手く作用して、モチ状の柔らかい、とても美味しい食べ物になる。

島人達のパーティーには必ずこのタピオカ料理が並べられていて、パーティーに呼ばれる私達の楽しみの1つにもなっている。そしてもう1つの調理方法は、粉(澱粉)を使った料理で、ケーキや羊羹などのデザートとして利用されている。このようにタピオカは、単調な南の島の料理に彩(いろどり)を与えてくれるとても重宝な食べ物なのである。基本的には日本食が中心の我が家でも、このタピオカだけはしょっちゅう食卓に登場する。

タピオカ(キャッサバ)の原産地は中南米で、その栽培の歴史は記とても古い。赤道を中心とした中南米の熱帯地域では、紀元前のずっと以前から一般的に栽培されていたと記録されている。

こんなに古くから栽培されていたタピオカだが、それが他の地域に普及して行ったのは比較的新しく、コロンブスのアメリカ大陸発見まで待つ事になる。地理上の発見と言われたこの大航海の時代に、アフリカの熱帯域を始めとして、次々と世界中の熱帯地域に広まっていったのである。中でもこのミクロネシア地方への伝播は最も遅く、19世紀の後半から20世紀初頭にかけてやっともたらされたと言われている。現在では、世界中の熱帯域で栽培されており、ライスやバナナと並んで、世界的に重要な作物となっている。

南の島のおご馳走

チューク諸島
末永卓幸


末永
末永 卓幸

1949年1月生まれ
長崎県対馬出身

立正大学地理学科卒業後、日本観光専門学校に入学・卒業。在学中は地理教材の収集と趣味を兼ねて日本各地を旅する。1973年、友人と4人でチューク諸島を1ヶ月間旅行する。1978年チューク諸島の自然に魅せられ移住。現地旅行会社を設立。現在に至る。観光、ダイビング、フィッシング、各種取材コーディネート、等。チュークに関しては何でもお任せ!現地法人:『トラックオーシャンサービス』のオーナー。

ミクロネシア・チューク諸島

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