ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第三話 海外デビューはサイパン(前編)

500時間のダイビングを超えたところで、マリアナブルーを体験することとなった。

実は海外旅行は2度めで、初めての海外はアメリカの西海岸であった。高校2年生の時、大学はアメリカに行こうと思い、偵察のつもりでUCLAやサンフランシスコの大学を見て回った。紆余曲折があって最終的に大学は何故か、日本の大学になってしまったが、今となっては留学したくらいの日数は海外に行っている。一カ所に長く滞在する素晴らしさも理解しているけど、沢山の場所で得られる経験の楽しさもまたオカシである。しかし、ダイビングをしていないので、ダイバーとしての初海外は「サイパン」になるわけですね。

さて、余談はこのへんにして、初のサイパンは何と講習のアシスタントとして同行した。夜中の2時にチェックインしたハファダイホテルのロビーには、ポール牧さんがいらっしゃった。(爆)「ポール師匠だぁ」と声を掛けると、指パッチンで応えてくれた。幸先いいぞぉ!サイパン!!朝まで仮眠をして、オーシャンビューのレストランでコンチネンタルブレックファーストを済ませば、気分はもう海外南国紀行!皿を下げにきたウェイトレスにも「ごちそうさま」ではなく“Finish”が口をついて出てくる。潮の香りが朝の清々しいオープンエアーのカフェをゆっくりと通り過ぎる。

さぁ!講習の開始だ。ビーチに出ると、さっきまで「眠みぃ!」だ「だりぃ!」とか言っていた講習生の態度が一変する。「さっ、皆さん体操をしますよ」指示しなくても等間隔に並んでいる。(爆)毎回、準備運動をする時はピンポンパンの体操のオニぃさんの気分だ。何せ皆さん、通常は言う事を聞きませんからね・・・。

軽く汗ばんだところで、スノーケリングの器材を渡して、ウォーミングアップと称した水面スキルの練習を行う。みんな早くダイビングがやりたくて、言うことを聞いてくれる。環境が良いと講習の進行も早くなるようだ。ビリジアンブルーという色彩表現が一番しっくりとくる浅瀬の珊瑚礁で、プール講習の復習を行ったが、ほぼみんながパーフェクト!マスクリカバリーまでやったけど、目をパッチリと明けていて・・・平気だったのかなぁ?


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

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