ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ | 豪海倶楽部 |
最終話 青が僕にくれたもの(後編) 自分が進化の果てに、陸上へと存在するようになった生物だと認識できれば、もとの生活が保障されるのかも知れない。 しかし、この状況における感情をともなう生命体は、生命のルネッサンスを渇望してしまうであろう。つまり、ストラマライトのDNAが太古の記憶とともに蘇ってしまうのであった。 「それって、悲しいことなの?」 人間としての生涯を全うしようとすれば、志し半ばでブレイクしてしまうのであるから、後ろ髪をひかれて当然であろう。 しかし、地球上...あるいは宇宙に存在する一つの生命体としての観点ならば、果たしてこの選択に対して、悲しみが伴うのか?微妙である。 森鴎外が最後に発した言葉と同じになることだろう。青と言う色は、どちらともとれる判断しかねる色ではないか?ある領域においてはクリアーで海洋生命が一同に会す素晴らしい海域の象徴とされ、ある観点では全く逆の見方をされ貧栄養状態と考えられることもある。 青い水平線は、クリアーなメロディーとともに、夢とロマンを与える。しかし、悲しい現実に直面し、人の顔が青くなるとも表現される。おまえは、どっちなんだ!?極端な2面性が「青」の正体ではないだろうか? だから、僕達は毎日毎日、青の変化に一喜一憂し、その生涯を青に翻弄されながら送ってゆくに違いない。 過ぎたるは及ばざるが如し。青過ぎてもいけない、しかし適度に青くなければいけない。プラマイゼロの中性浮力の様な「青」を僕はまだ知らない。だから、青は僕に何も与えていないのだ。僕はまだ青から何も貰ってはいないのだ。 青が僕にくれたもの...それは、満たされない気持ちを、自分というコップに満たそうとする衝動に他ならない。 |
鉄 多加志 1965年生まれ 清水出身 生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。 通称「視界不良の魔術師」 静岡・三保 ダイバーズ・プロ アイアン 〒424-0902 静岡市清水区折戸2-12-18 Tel:0543-34-0988 Divers Pro IRON blog.goo.ne.jp/under-w blog.livedoor.jp/diverspro_iron ameblo.jp/g-iron iron@if-n.ne.jp |