ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第一話 ガイドっていうけど(中編)

添乗員ではないガイドを辿ってゆくと、やはりそこには雪山の存在がありました。起源や発祥に言及すると、元祖なんとかとか、本家どうとかって話しになりますので、そこは触れずに進めたいと思います(笑)。

山岳ガイドの頂点は、アルプスとヒマラヤで2分するように感じます。専門家からすれば、異存だらけかも知れませんが、行った事の無い水中案内人からすれば、高い山、険しい山のあるところに、トップガイドが存在すると思うに決まっています。

で、この2つの頂点を比較し、独断と偏見に基づいて分析すると、根っこの違いが浮き彫りされます。つまり、ヨーロッパの土壌で培われたアルプスのガイドは、長い歴史と緻密な教育によって「生み出された」人材で、かたやヒマラヤのガイドは、麓に住む民族の系譜によって支えられているのではないでしょうか。まったく根拠が無いと言えばウソになりますが、同じガイドとしてそう感じます。

海のガイドに関して言えば、ヒマラヤ的な存在は皆無に等しいです。0(ゼロ)と言う表現をしなかったのは、漁師出身のガイドや船頭さんがいることです。海に入らなくても、船頭はイコール先導であり、ポイントまでのガイドであることは間違いありません。特に、潮流の早い場所でドリフトダイビングをする時には、水中のガイドの存在も重要ですが、潮読みによる魚の集まり具合を予測したりや安全にゲストを回収する面において、ボートキャプテンのガイドとしての力量は、水中と同等以上のものを要求されます。

しかしながら、海のガイドとして、職業的従事をしている人の多くは、アルプス的なアプローチだと思います。ガイドは、どこの海でもガイドが出来るのか? ある程度の経験を積んだガイドならば、地形や特性を把握してしまえば、どの海でもボーダーラインを上回るガイドができるはずです。

ところが、求められる限界が高くなればなるほど、そのエリアでの経験が必要になりますので、ガイドするエリアでの経験年(本)数は、ゲストからのリクエストや多様性に応じられるかどうかを問うバロメーターになります。つまり、綿密かつシステマティックな教育は、ガイドになるためのアプローチに過ぎず、自然を相手に仕事をする場合は、その場での根幹の形成が不可欠であり、最終的にはヒマラヤ的な形成を何代にも渡って繰り返さなければならないのかも知れません。


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

ダイバーズ・プロ
アイアン

〒424-0902
静岡市清水区折戸2-12-18
Tel:0543-34-0988

Divers Pro IRON
blog.goo.ne.jp/under-w
blog.livedoor.jp/diverspro_iron
ameblo.jp/g-iron
iron@if-n.ne.jp

アイアン
GROUP IRON
ORGANIC KELP