ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第一話 ガイドっていうけど(後編)

最近は、オウンリスクをボランティアという言葉と同様に、便利に身勝手に解釈するケースがあります。

つまり、インストラクターやガイドが、自分の責任や職域を理解していないために、自分の範疇において、ゲストや講習生にリスクを押し付けようとするような考えです。

逆のケースもあります。今流行りのモンスター○○レンツのように、お金を払っているからと言って、何でもかんでも主催者に背負わせてしまう「勘違い」や「行き過ぎ」のことです。

日本は、休暇や余暇に関する概念やレジャーに対する姿勢が未成熟です。ある意味、歴史的に浅いためか、幼稚な捉え方をしています。別の側面から見れば、不誠実とも言えます。それは全てにおいて、戦後教育の方向性が「内需拡大」や「高度経済成長」の御旗の元において行なわれて来た事に他なりません。

「贅沢は敵だ!」や「不眠不休」の考え方が、豊かさに向かう為の最良の方法だと教えられ、「贅沢は素敵だ!」と言えるまで何年掛かったことでしょうか? 余暇やレジャーは、一部の皇族や特権階級の人たちしか知らない「蜜の味」であり、非(あら)ず蜜は秘密という形で、一般的に普及する事はありませんでした。

実際に野に降りて普及したのは、レジャーという形をした商いでした。商品を売り買いするだけのものであれば、売り手と買い手の関係、つまり需要と供給のバランスに基づいて行なわれる「商売」なのですが、ダイビングのように一見、教育が先行しているようなレジャースポーツは、根ッ子の部分に「精神」が無ければ成立しません。その精神を逆手に取って指導されてきたダイバーは、果たして本質的な部分での贅沢を味わう事ができるのでしょうか? あるいは、根本的な至福の時を享受できるのでしょうか?

そんなのは、まやかしだ!とか個々によって違う!!とか、自分の教養と経験の無さを棚上げして機械的に生産(量産)されたダイバーって...

一体誰の都合で産声を上げているのでしょうか? この業界にとって、産婆さんがインストラクターで、ガイドがある意味で「育ての親」的存在だと思います。もちろん、親は無くとも子は育ちますが、生みの親より育ての親とも言います。単に海の中だけを案内するだけでなく、産声を上げたヨチヨチダイバーが正しく成長するためのガイドラインを提供する事も、勝手ながら僕らの仕事だと思っています。


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

ダイバーズ・プロ
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