ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(14)

[伊豆ダイバーは凄いっ!]

ヘビギンポとはまったく関係ないのだが、伊豆半島をホームグラウンドとするダイバーの魚や海の生き物を見る観察眼には毎回驚かされる。さすがに日本一のダイビングのメッカだけあって、一般の週末ダイバーのフィッシュウォッチング・レベルの高さが際立つ。

最初はレアモノ探しや重箱の隅をつつくような小物&キワモノ探しに終始していたフィッシュウォッチング(=生き物ウォッチング)が、のめり込んでいくに従ってその土地で見られる普通種に目が行くようになるものだが、伊豆にはこうした普通種をじっくり観察する一般ダイバーが多い。そうしたダイバーがネット上でレアモノだけでなく、ごく普通に見られる生き物の水中写真や観察ログを毎週のように上げてくれるおかげで、屋久島にいても伊豆の海の様子が手に取るように分ってしまう。

他のダイビングエリアの場合、レアモノ情報やウミウシ&小物情報(笑)などは得やすいが、その土地では何が普通種で何が珍しいのかといった情報を得るのはなかなか難しい。。。(-_-;)その地域の普通種に関する情報がほとんどないため、その海がどんな海なのか?と言った概要がよく分らず、想像すらできない。

ヘビギンポの場合、その多くはその土地の普通種として君臨しているにも関わらず、未記載種だったり不明種だったりするものが多い。また書籍やネットには情報が少なく、そしてどの種類も通常体色時は地味でどれも同じように見えるため、自分自身の時間をかけた深い観察が必要だったりする。

そうした事からヘビギンポに興味を持つ方は、普通種をじっくり観察するようなウォッチング・スタイルのダイバーが多い気がする。特に伊豆半島をホームグラウンドとするダイバーにヘビギンポ好きが多いのもうなずける。。。(笑)

【赤ヘビ(ヘビギンポ属の一種3)】

通称「赤ヘビ」と呼ばれるこのヘビギンポもこうした伊豆の一般ダイバーたちによって見出された未記載種だ。どうも温帯種のようで、沖縄やここ屋久島では未だに記録はない。昨年、鹿児島県の坊津でも見つかって、今のところここが南限となるヘビギンポだ。

という事で今回も屋久島では未記録のヘビギンポなので、伊豆の大瀬崎を中心に潜る同業者に写真をお借りした。


婚姻色のオス

上の写真は婚姻色のオスなのだが、見ての通り以前紹介したミヤケヘビギンポお洒落ヘビ(ヘビギンポ属の一種1)の婚姻色とそっくり!

でも、その違いは見比べてみて頂ければ分る。
見たままです。。。はい。。。(笑)

ところが通常体色時は他の種類と見分けるのはなかなか難しい。他の種類とは同じ場所で見られる普通のヘビギンポやキビレヘビギンポミヤケヘビギンポなどだ。


通常体色のオス

伊豆のダイバーたちはすでに通常体色の状態で見分けているようだが、僕自身は「赤ヘビ」をまだ実際に見た事がなく、写真で見る限りは見分ける自信は今のところまったくなし。(-_-;)

やはりヘビギンポには長期に渡る婚姻色観察&生態観察が欠かせない。
つまりホームグラウンドを持って、その海に繰り返し潜るダイバーにはかなわないのであった。。。

写真提供:アクアスペース 松川氏(Diver's High Underwater Photo Gallery
参考:ヘビ ギンポのデータベース ヘビベース!


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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